若者の間で流行の発信源となっている「動画インフルエンサー」を通して、若年層マーケティング攻略のヒントを探る!

「バズを知らない恥を知れ」をテーマに株式会社VAZが制作した中高生のSNS流行を網羅した動画は公開3日後で約700万回も再生された
動画:https://www.youtube.com/watch?v=qPl6POl8Oic&t=3s

今回はインフルエンサーが生まれる仕組みについて、もう少し具体的に見ていきたいと思います。

インフルエンサーはユーザーが集うプラットフォームそれぞれに存在していますが、今回はその中でもユーチューバーとショートムーバーにフォーカスしてお話しします。

ユーチューバーやショートムーバーが生まれる仕組み

彼らが有名になっていく過程で外せないのは、「動的レコメンド」です。YouTubeで動画を視聴すると、関連動画が合わせて表示されると思います。ここが動的レコメンドに該当する部分で、多くのユーチューバーはこの関連動画をきっかけに再生数を伸ばしています。既存の有名ユーチューバーの動画の関連動画として自身の動画が表示され、ユーザーが流れてくる、という流れが一般的です。初めから有名ユーチューバーのユーザーを獲得する事を目的としたコラボレーションを繰り返し実施するユーチューバーも中には存在しますが、事例としては多くありません。

次に外せないのが、人気アプリ内でのランキングです。10代のユーザーに非常に人気のある「MixChannel」にはユーザーのランキングページが存在しており、ここにランクインできるとMixChannelのみでは無く、他のプラットフォームでも有名になりやすい、という特徴があります。現在10代に人気のあるショートムーバーの多くは、このMixChannelを通じて有名になっています。

最後がTwitter上でのクチコミです。主にフォロワーのツイート・リツイートがこれに該当します。

これら3つの仕組みによってインフルエンサーの卵がユーザーによって発見され、ユーザーからの支持を増やしながら影響力を強めていくことになります。

媒体によって異なる、インフルエンサーの特徴

ユーチューバーもショートムーバーも大きな括りで言えばインフルエンサーである事に相違はありません。しかし、実は媒体毎で特徴に大きな差が存在しています。

まずユーチューバーの特徴についてですが、YouTubeという媒体の特性上、若者・特に10代はテレビをつける感覚で視聴しています。暇つぶしで見る媒体の為、5~10分の長尺動画でもユーザーは離れません。逆に長尺動画であるからこそ、動画の中でユーチューバーの人柄・内面がユーザーに伝わります。その結果、ユーチューバーのファンは他の媒体と比べて熱量が高い傾向にあります。ですから、ユーチューバーは、動画の企画性ももちろん重要ですが、その人柄がどうか、キャラクターが魅力的かどうかが問われるといえます。

次にショートムーバーについてですが、ここではMixChannelとTwitterを対象媒体としてご説明します。

MixChannelでは「ツインズダンス」など、コンテンツのフォーマットが既に指定されており、ユーザーはその枠に従って動画コンテンツを投稿していきます。その特性上、動画の内容自体にそこまで大きな差が出にくく、投稿者のビジュアルがブレイクするきっかけになる傾向にあります。

MixChannelの「ツインズダンス」で人気となった双子モデル「りかりこ」

Twitterの場合はSNS要素がYouTube・MixChannelよりも強い為、ファン以外にも動画が拡散されます。コンテンツの内容次第にはなりますが、ユーザーの目に触れる機会は上記2つの媒体よりも多くなる事もしばしばあります。一方で、Twitterで投稿できる動画尺は短く、それ故に投稿者のキャラクターよりも動画の企画内容そのものが注目される傾向にあります。その為、動画が爆発的に流行しフォロワー数が伸びたとしても、フォロワーは投稿された動画に興味があり、必ずしも投稿者に関心が寄せられる訳ではありません。ユーチューバーと比較するとファンの熱量がやや薄いと言えます。

次は2016年に大流行したPPAPの事例を参考とし、どの様にして口コミは動き、その流れの中でインフルエンサーがどういう役割を果たしているのかをご紹介します。

PPAPの事例から見る、インフルエンサー登場までの流れ

ピコ太郎氏がPPAPをYouTubeに投稿したのは8/25ですが、直後は再生数の伸びはほとんど見られませんでした。9月中旬に入り「パクツイ」と呼ばれる、他媒体・アカウントが配信する情報を転載する形でTwitterのツイートを行う、いわゆるまとめアカウントによってPPAPが紹介され始めました。こういったまとめアカウントにも大小はありますが、有名なアカウントの場合100万程度のフォロワーを保持するケースもありますので、彼らに紹介される事は、流行するきっかけに十分なり得ます。

株式会社VAZが制作した、PPAPが流行った理由をまとめた動画
https://www.facebook.com/vazinc/videos/1175619845856421/

このパクツイアカウントのツイートは、情報感度の高いインフルエンサーへ届き、彼らがPPAPを「面白い!」と捉えた結果、自分達でPPAPの真似をする動画をすぐさま投稿していきます。りかりこ、テオ といった10代にかなり人気のあるインフルエンサーが紹介した事で10代を中心にPPAPは爆発的に流行、1日の再生回数は200万回にも及ぶ勢いとなりました。

こうした最大瞬間風速的な流行は海外にも届き、結果ジャスティン・ビーバーが紹介するまでに至ります。世界的インフルエンサーの紹介によってPPAPは日本のみならず海外でも流行の兆しを見せ、再生回数は異常なまでの伸びを記録していきます。

そして、多くのFacebookまとめアカウントもPPAPを取り上げ始め、やや年齢の高い層にも認知された事で、Yahoo!ニュースなどの巨大Webメディアにも露出し、結果、PPAPはテレビにも取り上げられる事となり、10代以外の様々な層の認知も獲得するに至りました。

この事例においては、流行までのきっかけが3回存在します。パクツイと呼ばれるまとめアカウント、国内のインフルエンサー、そして海外のインフルエンサーです。パクツイアカウントもインフルエンサーの一つ、と捉えれば、PPAPはインフルエンサー達の手によってWeb中を駆け巡り、一大ムーブメントを起こしたと言えます。

何も無い状態から流行が生まれることは、今のソーシャル時代においてほとんど無く、そこには必ず流行するきっかけが存在します。そうしたきっかけを考える際に、インフルエンサーは無視できない存在となっているのです。

次回のコラムでは、「スマホネイティブ世代」と呼ばれる若者達とインフルエンサーの関係、そしてスマホ中心の若者達とのコミュニケーションについてご紹介します。

<筆者プロフィール>

森 泰輝 (Taiki Mori)
株式会社VAZ 代表
平成27 年7月に、若年層マーケティングとして、インフルエンサーマーケティング事業及びSNSプラットフォーム事業を行う株式会社VAZを設立、代表取締役社長に就任。
10代のユーザーに対して絶大な影響力のあるトップ・インフルエンサーが企業広告を行うサービス「VAZ Make」を提供。これまでに大手企業を中心に約40社以上のプロモーションを実施。

執筆協力:正井 亮佑
株式会社VAZ アカウントマネージメント ビジネスユニット

本稿は、ソーシャルメディアマーケティングラボにて掲載された記事を転載したものです。

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