近畿大学理工学部の井上開輝 准教授を主とする国際研究グループは、電波干渉計「アルマ望遠鏡」の観測により、極小の暗い銀河「暗黒矮小銀河」の冷たい塵が放つ微弱な光と考えられるシグナルを検出することに成功したと発表した。

同成果は、井上開輝 准教授のほか、東北大学 理学研究科天文学専攻の千葉柾司 教授、東京大学大学院 理学系研究科の峰崎岳夫 助教、台湾中央研究院天文及天文物理研究所(ASIAA)の松下聡樹 Associate Research Fellow(副研究員)らによるもの。詳細は、米国の学術雑誌「The Astrophysical Journal Letters」に掲載された。

矮小銀河は、天の川銀河の約1000分の1以下の質量しかない小さな銀河として知られるが、現在、観測されている矮小銀河の数は理論予測より少ないことが問題となっている。観測と理論が合わない背景として考えられているのは、宇宙にはほとんど光って見えない正体が良く分かっていない暗黒矮小銀河がたくさん潜んでいるのではないかということにあるが、暗黒矮小銀河を観測するためには、暗黒矮小銀河が放つ微弱な光を直接とらえるか、重力により近くを通る光の経路を曲げる「重力レンズ効果」を使って質量を測定するかしかないという課題があった。

今回、研究グループはアルマ望遠鏡で重力レンズ天体を観測することで、その中から、小さな岩や氷の粒(冷たい塵)によるものと考えられる波長約0.9ミリの微弱な電波を検出。その方向に暗黒矮小銀河があると仮定すると説明がつくこと、ならびに可視光で観測されている、塵によるレンズ像の減光も同時に説明できることが判明したことから、微弱な電波の起源は暗黒矮小銀河であると考えることが妥当であるという結論に達したとする。

なお、研究グループでは、今回の成果から、暗黒矮小銀河の微弱な光をサブミリ波で観測するという手法が有効であることが示されたとしており、今後、より高い解像度での観測を行い、重力レンズ像のわずかな歪みから、暗黒矮小銀河までの距離や質量分布などを測定し、その正体の解明に向けた研究を進めていきたいとしている。

アルマ望遠鏡による観測対象となった約114億光年離れた重力レンズ天体「MG0414+0534」のサブミリ波画像。赤い円内が暗黒矮小銀河(Y)由来と考えられる光 (出所:東北大学Webサイト)