「おいしさ向上宣言」を打ち出して2017年をスタートさせた日本マクドナルド。定番バーガーの“総選挙”は記憶に新しいが、今度はヒット作「チキンタツタ」を期間限定で復活させるという。定番商品の価値を改めて世に問う施策が続いている印象だが、その理由とは。

フリーアナウンサーの龍田(タツタ)梨恵さんが司会進行を務めた新商品発表会

復活を熱望する声に応えてチキンタツタが登場!

2017年1月、プレミアムローストコーヒーのリニューアル発表会に登壇した日本マクドナルド社長兼CEOのサラ・L・カサノバ氏は、同社が掲げる今年の商品戦略として「おいしさ向上宣言」を打ち出した。この戦略が示されて以降、初めて登場するバーガー系の新メニューが「チキンタツタ」と「チキンタルタ」だ。

チキンタツタは1991年に登場した歴史ある人気商品で、2004年まではマックのレギュラーメニューだった。その後も期間限定での復活を繰り返しており、先頃の総選挙では、「なぜチキンタツタが立候補していないのか」と顧客から問い合わせがあったほどだという。

生姜醤油が効いたチキンタツタ(奥)とタルタルソースのチキンタルタ(手前)。タルタルソースが入っている分、タルタの方が原価は掛かっていそうだが、価格はどちらも単品380円だ。どちらを注文するか悩む時間も楽しんでもらい、結果的には両方を食べ比べてもらいたいというマックの意図が感じられる

“チョコポテト”が体現するマックの思想

復活を熱望するファンからの声に応えて、チキンタツタを再販するマック。これは「(顧客の)顕在化したニーズに応える」取り組みだと日本マクドナルド・マーケティング本部の唐澤俊輔氏は語る。2016年の後半、マックは「みんなの愛で大復活」と銘打って人気商品復刻キャンペーンを実施。これ以外でも、根強いファンがいる商品については定期的に復活させるのがマックだ。ある商品を待ち望む顧客が多ければ、つまり顕在化したニーズが見えている商品については、望みに応えて復活させるのが同社の商品戦略だといえる。

顧客の声に応えることを「最重要視している」と語る唐澤氏。では、マックの新商品はこの先、人気バーガーの復活が基本になるのかというと、そうではない。顕在化したニーズに応えるのも大事だが、潜在的なニーズを先取りするのもマックの役割だし、その姿勢が結果的には顧客の声に応えることにもなると同氏は指摘する。

顧客が「食べたい!」とは言っていないが、心の中では求めているもの。これを探るのは難しいが、「先進的(な企業)で、バーガー企業のリーダーでもあるので、先を行っていたい」(唐澤氏)というマックは、顧客の意表をつくようでいて、結果的には顧客に受け入れてもらえるような商品に常に思いをめぐらせているのだという。この思想は、同社が昨年発売した「チョコポテト」に端的に現れている。マックが商品戦略で狙う、顕在化した需要と潜在的需要の2つのニーズ。この考え方を知ってしまうと、マックが次にどんな商品を出すのかがますます気になってくる。