大阪大学(阪大)は1月16日、楽曲に対する脳の反応に基づいて自動作曲を行う人工知能の開発に成功したと発表した。
同成果は、大阪大学 産業科学研究所の沼尾正行 教授、東京都市大学 メディア情報学部の大谷紀子 教授、クリムゾンテクノロジー、ベルギーの研究機関imecらによるもの。
今後の脳マネジメントシステムは、個人の脳波の状態を検知し、それに基づいて脳の活性化手段を提供し活性化につなげることが考えられており、その活性化手段としては音楽の提供が有望視されている。しかし、現在の音楽提供システムは、過去に聴いた曲の類似曲を推薦するか、曲の特徴を細かく指定する必要のある自動作曲システムしか存在せず、手軽に音楽で脳の活性化に結びつけることが困難であったという。
そこで研究グループは今回、ヘッドホンと一体化した脳波センサを開発。曲に対する脳波データの収集を容易化したほか、収集した曲への反応と脳波の関係を機械学習し、ユーザーのメンタル状態を活性化させるオリジナルの音楽を容易に生成することを可能にしたという。
作曲結果は、その場ですぐに、MIDIでアレンジされ、シンセサイザを用いた音色で再生されるとのことで、これにより、将来的に、個人だけではなく聴衆の反応測定が可能になり、聴衆の脳波反応に基づいた作曲の実現も期待されるようになると研究グループでは説明する。また、将来の社会実装の1つの姿として、家庭で個人の状態を脳波で測定し、個人の状態に合った音楽刺激を用いて、個人の潜在力を常に発揮できるシステムの実現も期待できるようになるとしている。
なお、今回の成果は、1月18日~20日にかけて東京ビッグサイトにて開催される「第3回ウェアラブルEXPO」にて実機も含めて展示されるという。