1月13日、帝国データバンクと東京商工リサーチから2016年の全国企業倒産の集計結果が発表された。同年同期の倒産件数と負債総額は、帝国データの発表では8164件/1兆9916億8300万円、商工リサーチの発表では8446件/2兆61億1900万円となっている。
帝国データバンクの調査結果
2016年の全国企業倒産の件数は8164件(前年8517件、前年比4.1%減)と、7年連続で前年を下回り、2000年(6734件)に次ぐ低水準となった。四半期ベースでは、第3四半期が2018件(前年同期1999件)と微増したが、それ以外の四半期は前年同期を下回った。
2016年の全国企業倒産の負債総額は1兆9916億8300万円と、前年を1.0%下回り、2年ぶりの前年比減少となった。四半期ベースでは、第4四半期を除く3四半期で前年同期比2ケタの大幅減少した一方、第4四半期は、負債5000億円の大型倒産が発生したことで前年同期比では2ケタの大幅増加となった。
業種別では、7業種中6業種で前年を下回り、運輸・通信業(282件、前年比18.3%減)、製造業(1053件、同12.3%減)の2業種は前年比2ケタの大幅減少となった。また、建設業、製造業、卸売業の3業種は2000年以降最少を記録した一方、サービス業(1765件、同0.6%増)は5年ぶりに前年比増加となった。
地域別では、9地域中7地域で前年を下回った。これらのうち、関東(3110件)は7年連続、近畿(2013件)は6年連続、中国(318件)は5年連続、北海道(257件)と九州(586件)は4年連続でそれぞれ前年を下回った。一方、北陸(240件)と中部(1186件)は前年比増加となった。
商工リサーチの調査結果
2016年の全国企業倒産件数(負債総額1000万円以上)は8446件で、前年比4.1%減(366件減)。8年連続で前年を下回り、1990年(6468件)以来の低水準だった。月次ベースの最多は6月763件にとどまり、年間を通して1回も800件に達せず倒産の抑制が際立ったという。
その要因として、依然として金融機関が中小企業のリスケ要請に積極的に対応しているほか、上向きな景況や財務内容に改善の兆しが見える企業への貸出増も影響していることが挙げられている。こうしたなか、2016年12月は4カ月ぶりに前年同月比増加になり、倒産減少の「底打ち」もうかがえるため今後の推移が注目されるとしている。
2016年の全国企業負債総額は2兆1123億8200万円で、前年比5.0%減(1062億6300万円減)で2年ぶりに前年を下回った。主な大型倒産としては、製造業として戦後最大になったパナソニックプラズマディスプレイ(負債5000億円)が特別清算を申請したが、全体では負債1億円未満の構成比が71.9%(6074件)を占め、小規模倒産が大半だったという。
産業別では、農・林・漁・鉱業・建設業・製造業・卸売業・小売業・金融/保険業・不動産業・運輸業・情報通信業・サービス業他の10産業のうち、全産業で前年を下回った。
地区別では、北海道・東北・関東・中部北陸・近畿・中国・四国・九州の9地区のうち、6地区で前年を下回った。
東北は348件(前年比8.7%増)で3年ぶりに前年を上回り、地区内では宮城(同13.0%増)、岩手(同2.2%増)、秋田(同16.6%増)、福島(同47.0%増)で前年を上回った。東北の産業別では、建設業(57→70件)や水産物加工などを含む製造業(43→60件)などで増加した。中部は1117件(前年比2.9%増)で5年ぶり、北陸208件(同4.0%増)が4年ぶりに前年を上回った。