1月13日、帝国データバンクと東京商工リサーチから2015年)の全国企業倒産の集計結果が発表された。同年同期の倒産件数と負債総額は、帝国データの発表では8517件/2兆108億800万円、商工リサーチの発表では8812件/2兆1129億8200万円となっている。

帝国データバンクの調査結果

2015年の全国企業倒産の件数は8517件(前年9180件、前年比7.2%減)と、6年連続で前年を下回り、2005年以来、10年ぶりに9000件を下回った。四半期別では、第3四半期まで減少基調で推移していたが、第4四半期は、2013年第2四半期以来、10四半期ぶりの前年同期比増加に転じた。

年別件数推移 資料:帝国データバンク

2015年の全国企業倒産の負債総額はは2兆108億800万円(前年1兆8678億円)と、前年を7.7%上回り、3年ぶりの前年比増加となった。四半期別では、第2四半期を除く3四半期で前年同期を上回り、特に第3四半期以降は2四半期連続で前年同期比2ケタの大幅増加となった。

その要因として、大型倒産は各種金融支援や大企業を中心とした好業績などを背景に低水準にとどまったが、負債1000億円以上の倒産は3件(前年1件)発生したことが挙げられている。

年別負債総額の推移 資料:帝国データバンク

業種別では、全7業種で前年を下回った。なかでも、建設業(1612件、前年比13.3%減)、運輸・通信業(345件、同16.5%減)、不動産業(270件、同15.4%減)の3業種は前年比2ケタの大幅減少した。

地域別では、全9地域で前年を下回った。なかでも北陸(230件、前年比21.5%減)は12月を除く11カ月、中国(367件、同15.0%減)は10カ月、前年同月を下回り、前年比2ケタの大幅減少となった。

商工リサーチの調査結果

2015年の全国企業倒産件数は8812件で、前年比9.4%減(919件減)だった。7年連続で前年を下回り、1990年(6468件)以来、25年ぶりに9000件を割り込んだ。

その要因として、金融機関が中小企業のリスケ要請に柔軟に応じるなどの金融支援、大手輸出企業を中心とした業績拡大に牽引される形で景気が底上げされていることが影響したほか、為替の円安基調が続く中で、原油や鉄鋼関連価格の低下などの資源安も経営環境を緩和したと見られるという。

2015年の全国企業負債総額は2兆1123億8200万円で、前年比12.7%増(2383億1700万円増)で、3年ぶりに前年を上回った。その要因として、負債100億円以上の大型倒産が15件(前年7件)と2倍増になったことがあるという。

MARU(旧:AIJ投資顧問(株)、負債1313億円・12月)と第一中央汽船(株)(同1196億700万円・9月)の2件(前年1件)は1000億円超えの負債となっており、負債を押し上げたとしている。

企業倒産年度推移 資料:東京商工リサーチ

産業別では、農・林・漁・鉱業・建設業・製造業・卸売業・小売業・金融/保険業・不動産業・運輸業・情報通信業・サービス業他の10産業すべてで前年を下回った。建設業は1686件(前年比14.1%減)で7年連続の減少、公共工事拡大などの影響から地区別では全国9地区のうち東北と九州を除く7地区で前年を下回った。小売業も1211件(同2.7%減)で7年連続の減少、製造業1290件(同8.0%減)と情報通信業371件(同5.8%減)は、いずれも6年連続で減少した

地区別では、北海道・東北・関東・中部北陸・近畿・中国・四国・九州の9地区のうち、九州を除く8地区で前年を下回った。