東北大学は1月10日、先生と生徒の間における教育学習のメカニズムに前頭前皮質が関与していることを明らかにしたと発表した。

同成果は、同大大学院医学系研究科 肢体不自由リハビリ分野の竹内直行 講師らによるもので、詳細は心理学系のジャーナル「Frontiers in Psychology」(電子版)に掲載された。

学習中における脳活動の研究は生徒のみで実施されることが多く、先生と生徒間のやりとりにおいて、両者の脳活動がどのように変化するかは良く分かっていなかったという。そこで研究グループは今回、教育学習課題中の先生役と生徒役の脳活動を同時に測定することで、脳活動の変化の測定を行ったという。

具体的には、市販の携帯ゲーム機/ソフトを用いて、先生がゲームの内容を会話なしで、ゲーム内のキャラクターの動きのみで生徒に教えるという実験を実施。その結果、先生と生徒における左前頭部の脳活動が教育学習の進行に伴い同じような変化を示すことが分かったという。

また、先生の左前頭部脳活動は先生自身の教え方の自己評価と生徒の課題理解推測の差と強い関連が認められたとのことで、先生は左前頭部を使って自分の教え方と生徒の理解状況を比較し、教育学習状況を把握していることが示唆されたとする。

なお、研究グループでは、今回の研究の成果について、教育学習中における先生と生徒間の相互作用メカニズムの解明ならびに教育神経科学研究の発展に寄与するものとなると説明しているほか、先生の脳活動を利用し教育学習を促進させる機器開発の発展にもつながることが期待されるとしている。

先生は自分の教え方と生徒の理解の比較を左前頭部で行っていることが示された (出所:東北大学Webサイト)