スマートメーターは、エネルギーの消費抑制とコスト削減を実現するために世界的に欠かせないツールとなってきています。国内外での傾向として、行政、エネルギー事業者、システムインテグレーター、デザインハウス、OEMメーカーなど複数のステークホルダーが、住宅地や商業・工業地域で電気・ガス・水道といった公共事業にこの新しいテレメトリシステムを展開しています。
このような変化は電力業界から始まりました。従来の検針員による赤外線通信などによる自動検針(Automated Meter Reading:AMR)から、いわゆるスマート検針(Advanced Metering Infrastructure:AMI)への転換が急速に進んでおり、これにより、時間帯によって変動する料金プランの提供などが可能になりました。現在、そうしたスマートメーターの応用範囲は、ガス・水道のメーターや自動配電、さらには電子制御サーモスタット(PCT)などのホームエリア・ネットワーク(HAN)上の機器の遠隔監視など、テレメトリの分野にまで広がっています。
通信技術の進化と相まって、自動請求やエンドユーザーの使用状況データの生成、そしてメーター機器の改ざんによる不正使用の排除と収益の確保など、消費者と事業者の双方にメリットがもたらされています。また、この技術革新により、業界に新たな可能性がもたらされ、メーター市場のバリューチェーン全体が急速に変わりつつあります。
現在、スマートメーターは、電気事業者が停電対策やグリッド電圧の最適化を実装するために使用されたり、水道事業者が水道網の漏水対策を強化するために活用したり、ガス事業者が新しい供給方式を導入する際に使われたりしています。これらの改善は、エネルギー配分の全体的な改善、資源の無駄の削減、高精度なネットワーク配電の制御につながります。つまり、事業者の運用コストが削減され、消費者に還元されるということにつながります。ABIリサーチによると、2020年までに世界中で導入されるスマートメーターの数は、電気メーターが7億8000万台、ガスメーターが1億5000万台、水道メーターが9000万台に達する見込みです。これは大きな市場機会となりますが、実際に実装する際には、各国のエネルギー規制当局による指示に則り、どの通信技術を選択するか、熟考が必要となります。