理化学研究所(理研)は11月30日、同研究所が国際純正・応用化学連合(IUPAC)へ提出していた113番元素の元素名案および元素記号案について、提案どおり、元素名「nihonium(ニホニウム)」、元素記号「Nh」に正式決定されたと発表した。

原子番号113の元素は、理研 仁科加速器研究センター 超重元素研究グループの森田浩介グループディレクター(九州大学大学院理学研究院教授)を中心とする研究グループが、理研の重イオン加速器施設「RIビームファクトリー(RIBF)」の重イオン線形加速器「RILAC」を用いて2004年7月に初めて合成に成功したもので、その後、2005年4月、2012年8月にも合成に成功。2015年12月31日に、同研究グループによる113番元素の発見がIUPACにより認定され、命名権が与えられた。

同研究グループは、今年3月18日にIUPACへ元素名案「nihonium」、元素記号案「Nh」を提案しており、6月8日から開始された5カ月間のパブリックレビューとIUPACによる審議を経て、今回の正式決定に至った。

森田グループディレクターは、「日本発、アジア初の元素名が人類の知的財産として将来にわたり継承される周期表の一席を占めることになりました。研究グループの代表として大変光栄に思います。基礎科学には、発見当時は思いもつかないようなものが、のちに多大な恩恵を人類にもたらした例が数多くありますが、日々の生活や産業に即時に直接的な恩恵を与えることは稀です。このような長期的で地道な基礎科学研究を支援してくださった国民の皆様、そして研究所と関係府省の皆様に改めて感謝いたします。ありがとうございます」とコメントしている。

なお今回、113番元素のほか、115番、117番、118番元素の元素名および元素記号についてもIUPACによって正式決定され、それぞれモスコビウム(Mc:Moscovium)、テネシン(Ts:Tennessine)、オガネソン(Og:Oganesson)と命名されている。

IUPACのプレスリリース