端末価格の下限は下取り価格が基準に?

そして議論が大きく盛り上がったのは、端末購入補助の適正化、つまり冒頭に触れたガイドラインの適用後の動向と、その見直しである。

ガイドラインの適用後、総務省は実質0円、あるいはそれを割り込む額の割引となるキャリアの端末割引施策に対し、容赦なく行政指導を実施し、事実上端末の実質0円販売が禁止された。だが実際には端末販売を伴わない、番号ポータビリティ(MNP)による乗り換えでの回線契約を獲得した際に発生する販売奨励金を活用。週末に短期間のキャンペーンを実施するなどして、現在も実質0円販売がなされているのが現状だ。

そうしたことからフォローアップ会合では、ガイドラインの抜け穴を塞ぎ、実質0円販売の禁止を徹底するための方策について議論がなされた。ガイドライン改正案でも、連続するひと月未満の期間限定による、通信契約奨励金の臨時増額で端末の購入補助をすること、が端末購入補助の適正化対象になるとしている。

もう1つ、端末購入補助に関して大きな議論のテーマとなったのが、高額な端末と、廉価端末とで価格差があまり発生しないことである。割引額が制限されるのは、調達価格が3万円を超える高額な端末に限られるが、3万円を超える最新の端末であっても、割引後の価格は1万円程度となることが多い。

一方で、調達価格が3万円を切る廉価端末や、型落ちの端末にはガイドラインが適用されず、実質数百円での販売も可能だ。だが最新・最先端モデルと、廉価モデルの価格差が1万円程度では、前者を選ぶ人が多いのは自明である。そうしたことから高額端末の割引はもっと引き下げるべきという意見が多く出ていたわけだ。

では一体、高額端末はいくらで販売すべきなのか?という課題に対して、ある構成員から「1世代、あるいは2世代前の中古端末の買い取り額が目安の1つになるのでは」というアイデアが披露された。そうしたことからガイドライン改正案には、調達費用だけでなく、各キャリアが下取りしている、2年前に販売された同一メーカー旧機種の価格にも照らし合わせて、合理的な額の負担を求めることが適当との記述がなされている。