米Dell Technologiesは、10月18日~20日(現地時間)、米テキサス州 オースティンで「Dell EMC World 」を開催したが、最終日にはClosing General Sessionが行われ、Zuora CEOのTien Tzuoo(ティエン・ツォ)氏がイノベーションについての講演を行った。

Zuoraは、サブスクリプション・ビジネスを支援するクラウドサービスを提供しており、国内では東芝、弥生、freeeなどが採用している。

Fortune 500の変化

Tien Tzuoo氏は、冒頭、Fortune 500にランキングされる企業の変化について触れた。

Zuora CEO Tien Tzuoo(ティエン・ツォ)氏

「現在はいろいろなところでイノベーションが起こっており、変化のスピードはますます加速している。また、大規模であっても会社の寿命はどんどん短くなり、15年前に比べ、Fortune 500にランキングされる会社は随分変わっている。長い間、Fortune 500にランキングされる企業は何らかの形でイノベーションを行っていたが、それはプロダクトに関わるイノベーションが中心だった。しかし、我々はプロダクトカンパニーではなく、デジタルカンパニーだ。今日のデジタルカンパニーのイノベーションはデザインすることだ。IBMはコンピュータ企業ではなく、データサービス企業だといっている。Fortune 500にランキングされる企業も製品を作っている会社からデジタルカンパニーやサービスカンパニーに変わり、Amazon、Google、Appleなどが新しいメンバーとして名を連ねている」(Tien Tzuoo氏)

成長企業の特徴

では、Amazon、Google、Appleなどの企業の特徴は何か?Tien Tzuooは、それは「ID」を持っていることだと指摘した。

「彼らは自分たちをプロダクトカンパニーだとは思っていない。顧客とのリレーションシップを中核にしている会社だ。みなさんはすでにAmazon ID、Apple ID、Google ID、Facebook ID、SalesForce IDを持っているのはないだろうか。それが職場でも、音楽を聴いているときでも、自宅でもアプリを使うときはIDを使っている。これらの企業は、このIDによってユーザーとの関係を維持しようしている」(Tien Tzuoo氏)

Amazon、Google、AppleがなどのFortune 500の新しいメンバーはユーザーとの関係を築いている

そのため同氏は、デジタルカンパニーやサービスカンパニーになるためには、製品モデルからサブスクリプションモデルへの転換が必要だと訴えた。

「今では、アプリは自分で更新しなくても、自動更新されるようになっている。そして、2-3年もすれば、自動車もクラウドにつながり、自動的にアップデートされるようになるだろう。これこそがサブスクリプションエコノミーだ。今後我々は、製品を気にすることなく、ヘルスケアでも、交通手段でもサブスクリプション契約しているサービスを利用するようになる。顧客は自動車を買いたいのではなく、移動手段がほしいだけだ。ソフトを買いたいのではなく、そのサービスが使いたいだけだ。そういった顧客こそ捕まえるべきだ。企業は、古い経済モデルを新しいユーザーが申し込み可能なビジネスモデルに変えていかなければならない」(Tien Tzuoo氏)

サブスクリプションモデルとは?

では、サブスクリプションモデルとは、どのようなモデルなのか? 同氏は次のように説明した。

「素晴らしい製品を作って、さまざまなチャネルを使って販売したとしても、メーカーは購入した人の顔はわからない。これまでは、メーカーはどのチャネルで何台売れたのかしか気にしていなかったが、今後はどこで売っても同じ体験(Experience)を提供していけるようにしなければならない。これがサブスクリプションモデルだ。これまでのように売れた台数を気にしていると、製造コストや販売拡大だけを気にするようになる。今後は誰と関係を築くのか、誰に新しい体験(Experience)を提供するのか。そして、その中の誰を囲い込むことによって、ビジネスが成長するのかを考えるべきだ。このように顧客との関係性によって、クロスセル、アップセルをか考えていくことになる。アップルも、何台のアップル製品が売れたのではなく、何件のApple IDが払い出されたかを気にしている。なぜなら、Apple IDを使ってクラウドで提供されるさまざまなサービスが使えるようになるからだ」(Tien Tzuoo氏)

サブスクリプションモデルへの変化

企業は今後、何をすべきか?

では、企業は今後、何をすべきなのか? 同氏は次のようにアドバイスして、講演を締めくくった。

「みなさんは、製品の単価ではなく、体験をどう値付けするのかを考えていかなければならない。マーケティングも同様だ。製品を買ってもらったときには、継続的な体験(Experience)を考えていかなかればならない。営業も顧客ひとひとりについて、何を望んでいるのか、それぞれのユニークな要件は何かを考え、AIを活用し、パーソナライズされたサービスを提供していかなければならない。どうすれば、顧客中心のカルチャー、社内体制を構築できるのか、どうすれば顧客とより深い関係を築けるのかを考えていかなればならない。こういった変化はみなさんも感じていると思う。すでにみなさんはすばらしいERPシステムを持っていると思うが、今後はそれに対してイノベーションを使って、スピード感を追加しなければならない」(Tien Tzuoo氏)