富士フイルムは10月3日、ウイルスや細菌などの抗原の有無を自動判定するデンシトメトリー分析装置「富士ドライケム IMMUNO AG1」専用の体外診断薬として、マイコプラズマ抗原検査キット「富士ドライケム IMMUNO AG カートリッジ Myco」を、富士フイルムメディカルを通じて発売したと発表した。

マイコプラズマ肺炎は、菌量が少ない状態で抗菌薬を投与すれば、症状の重篤化や二次感染を防ぐことができるため、医療現場では、発症初期での迅速で正確な診断が求められている。そのため、近年では外来診療の現場で、患者の咽頭や鼻腔などから採取した検体と試薬の抗原抗体反応によって、試薬上に現れる判定ラインを目視で確認し陽性/陰性を判定する「イムノクロマト法による診断薬」が広く使用されている。しかし、この方法は、簡便かつ短時間で検査ができる一方、菌が一定量に増えないと判定ラインがはっきりと現れず、陽性/陰性の判定が難しいなどの課題があり、感度の向上が望まれていた。

同キットは、同社独自の銀塩増幅技術の応用により、試薬中の金コロイド標識の周りで銀を増幅させて標識を約100倍の大きさにすることで、検体中の抗原と試薬の抗原抗体反応によってできる試薬上の判定ラインをよりはっきりと表示させることができるというもの。イムノクロマト法による一般的な診断薬よりも高感度でマイコプラズマ抗原を検出することが可能で、発症初期など菌量が少ない状態における検出精度を向上させた。

銀塩増幅技術のイメージ

また、IMMUNO AG1が検査結果を読み取って自動判定するため、個人の目視による判定誤差を格段に低減。分析装置との組み合わせにより、15分で判定結果を得ることができる。

同キットの価格は、10回分/箱で1万5000円(税別)となっている。

マイコプラズマ抗原検査キット「富士ドライケム IMMUNO AG カートリッジ Myco」(左)とデンシトメトリー分析装置「富士ドライケム IMMUNO AG1」(右)