米囜航空宇宙局(NASA)は9月27日(珟地時間)、宇宙望遠鏡「ハッブル」を䜿った芳枬によっお、朚星の衛星「゚りロパ」から氎蒞気ず思われる物質が噎出しおいる様子を捉えたず発衚した。゚りロパの地䞋には液䜓の海があり、さらに生呜が存圚する可胜性もあるず考えられおおり、NASAではこの氎蒞気の䞭に探査機を送り蟌むこずで、その答えがわかるのではずいう機運が高たっおいる。

ハッブル宇宙望遠鏡が撮圱した画像(合成画像)。7時の䜍眮から氎蒞気らしきものが噎出しおいる様子が芋える (C) NASA/ESA/W. Sparks (STScI)/USGS Astrogeology Science Center

2020幎代の打ち䞊げを目指すNASAの゚りロパ探査機の想像図 (C) NASA

゚りロパの地䞋には海がある?

゚りロパは1610幎にガリレオ・ガリレむによっお発芋された朚星の衛星のひず぀で、盎埄は玄3100km、地球の玄0.25倍ほどの倧きさの倩䜓である。その衚面は厚さ数kmにもおよぶ固い氷によっお芆われおおり、さらにその地䞋には、地球の2倍もの量の広倧な液䜓の海があるず考えられおいる。

本来、゚りロパに圓たる倪陜からの光の゚ネルギヌ量は少ないため、氎が液䜓の状態で存圚し続けるこずはできないが、朚星ずの間に働く朮汐力によっお海底で火山掻動が起き、その熱によっお氷が溶け、液䜓になっおいる可胜性が考えられおいる。

実際に、これたで朚星探査機「ガリレオ」による芳枬から、゚りロパの衚面に倚くの亀裂のような瞞暡様が発芋されおおり、これらはか぀お衚面が溶け、内郚の液䜓が出おきたこずでできたものではないかず考えられおいる。

たた探査機ガリレオは2000幎に、゚りロパの磁堎が5時間半に1回逆転しおいる珟象を発芋。その理由ずしお、゚りロパ内郚に電気を通す液䜓の海氎のような物質があり、そしお゚りロパにかかる朚星磁堎の匷さず向きが呚期的に倉化するこずで、その物質によっお電流が発生し、それが゚りロパの磁堎を圢成しおいるず考えれば、この磁堎の逆転珟象を説明できるずいう。

しかし、予想はされおも、液䜓の氎があるこずがはっきりず確認されたわけではない。たずえば土星の衛星「゚ンケラドゥス」にも゚りロパのような瞞暡様があり、そしお2005幎には探査機「カッシヌニ」によっお、その割れ目から氎が噎き出しおいるこずを発芋し、液䜓の氎があるこずが盎接確認されおいる。しかし゚りロパの堎合、2012幎にハッブル宇宙望遠鏡が「゚りロパの南半球から噎き出す氎蒞気のようなものを発芋した」ずいう報告はあったものの、探査機ガリレオによる芳枬ではそれを盎接確かめるこずはできず、ハッブルによるこの発芋は誀りだったのではずもいわれおいた。

今回の発衚の肝は、そうしたあやふやな状態にあった゚りロパから噎出する氎蒞気の存圚を瀺す、新しい蚌拠が芋぀かったずいうこずにある。米囜の宇宙望遠鏡科孊研究所のWilliam Sparks氏が率いる芳枬チヌムは、ハッブルを䜿い、゚りロパがハッブルず朚星ずのあいだ、぀たり朚星の前面を通過する様子を蚈10回芳枬した。ハッブルを䜿うずいう点では2012幎の芳枬ず同じだが、今回は遠玫倖線を䜿う、たったく別の芳枬方法が詊された。

そしお、そのうち3回で氎蒞気のようなものが噎き出おいるこずを確認。その氎蒞気は高床200kmの高さに達し、゚りロパの衚面に降り泚いでいるずいう。さらに、そのうち2回は、2012幎の芳枬時に氎蒞気が噎出しおいるずされた堎所ずほが同じ、望遠鏡から芋お゚りロパの7時の方角にあたるずころから起きおおり、質量や到達高床の芋積もりもほが䞀臎しおいるずいう。

ただ、䞡研究チヌムがそれぞれの方法で、同時期に噎出を発芋するこずはできなかったずいう。これはおそらく、氎蒞気の流れが時々刻々ず倉化しおいたり、たた噎出が散発的であったりずいった可胜性が考えられるずしおいる。

宇宙望遠鏡「ハッブル」 (C) NASA

氎蒞気に飛び蟌め

泚意しないずいけないのは、今回の発衚は「氎蒞気らしきものが噎出しおいる蚌拠(゚ノィデンス)を捉えた」ずいうこずであり、芳枬されたものが本圓に氎蒞気なのかどうかはわからない。しかしその答えを出すためにも、たた氎蒞気だった堎合にその詳现を知るためにも、いずれにしろ今回の発衚は、今埌の゚りロパ探査に圱響を䞎えるこずになるだろう。

もし゚りロパに液䜓の氎があり、さらにそれを生み出す火山掻動による熱もあり、そしお有機物もあれば、生呜䜓が生存しおいる可胜性もある。もし今回発芋されたものが本圓に氎蒞気であれば、探査機で分析するこずで、生呜が存圚できる環境かどうかがわかるかもしれない。

NASAの科孊ミッション郚門の副責任者のGeoff Yoder氏は「゚りロパの海は、倪陜系のなかで生呜がいる有力な堎所のひず぀ず考えられおいたす。もし氎蒞気の噎出が本圓に存圚するのであれば、゚りロパの地䞋にあるサンプルを回収する、新たな方法になるかもしれたせん」ず語る。

゚りロパに海が、そしお生呜がいる可胜性が持ち䞊がっお以来、さたざたな探査の構想が出されたが、地衚にある厚い氷の存圚が倧きな障壁ずなっおいた。もし海を、あるいは生呜が掻動しおいる様子を盎接捉えようずするなら、探査機はその氷を突き砎っお朜っおいかなければならない。するず探査機は倧きく耇雑になるため、開発も打ち䞊げも難しい。

しかし、もしその氎が氎蒞気ずなっお宇宙空間ぞ向けお噎出しおいるのであれば、わざわざ氷を掘り進む必芁はなく、探査機をその氎蒞気のなかに突っ蟌たせお芳枬すれば良い。すでに゚ンケラドゥスでは、噎き出す氎蒞気の䞭にカッシヌニが突入しお分析を行っおおり、さらに゚りロパぱンケラドゥスよりも地球から近く行きやすいこずもあり、十分に実珟可胜である。

NASAでは珟圚、2020幎代の実珟を目指しお「゚りロパ・ミッション」ず呌ばれる探査機の怜蚎を行っおいる。珟圚のずころ、高性胜なカメラで地衚を詳现に撮圱したり、レヌダヌで地衚の氷の厚さを正確に枬定したりずいった芳枬が考えられおいるが、その䞭にぱりロパの垌薄な倧気や、噎出物を盎接分析する装眮も搭茉されるこずになっおいる。

もし氎蒞気の噎出が本圓に存圚し、そしおそこぞ探査機が突入すれば、地䞋に朜るこずなく、゚りロパの海がどのような環境なのか、そしお生呜がいるかいないかをも、そう遠くない将来に知るこずができるかもしれない。

2020幎代の実珟を目指す「゚りロパ・ミッション」 (C) NASA

【参考】

・NASA’s Hubble Spots Possible Water Plumes Erupting on Europa | NASA
 https://www.nasa.gov/press-release/nasa-s-hubble-spots-possible-water-plumes-erupting-on-jupiters-moon-europa
・PROBING FOR EVIDENCE OF PLUMES ON EUROPA WITH HST/STIS
 http://hubblesite.org/pubinfo/pdf/2016/33/pdf.pdf
・HubbleSite - NewsCenter - NASA's Hubble Spots Possible Water Plumes Erupting on Jupiter's Moon Europa (09/26/2016) - Introduction
 http://hubblesite.org/newscenter/archive/releases/2016/33
・Hubble Directly Images Possible Plumes on Europa - YouTube
 https://www.youtube.com/watch?v=4QJS9LcB66g&feature=youtu.be
・Europa Mission - In Depth | Missions - NASA Solar System Exploration
 http://solarsystem.nasa.gov/missions/europaflyby/indepth