2016年9月26日(現地時間)、MicrosoftはITプロフェッショナルを対象にしたカンファレンス「Microsoft Ignite」でデジタル変革を加速させる製品群や数々のサービスを発表した。同社は「セキュリティ」「インテリジェンス」「クラウド」「ITプロフェッショナル支援」の4カテゴリに分けて解説している。

セキュリティ分野では、Microsoft Edgeにエンタープライズクラスのセキュリティ保護を行う「Windows Defender Application Guardは Microsoft Edge」を発表。既にMicrosoftはWindows 10 Enterprise向け機能として、WDATP(Windows Defender Advanced Threat Protection)の展開を始めているが、その「WDATPとOffice 365 ATP(Advanced Threat Protection)の相互情報共有」も行われる。Office 365 ATPはSharePoint OnlineやOneDrive for Business、WordやExcelに代表されるデスクトップアプリ向けのセキュリティ拡張機能だ。メールの添付ファイルスキャンや文中のURLをリアルタイムで分析し、危険なURLを識別する"URLデトネーション"機能も加わる。この他にも既存のSIEMシステムと統合し、需要に応じたセキュリティポリシーを付与する「Office 365 Threat Intelligence」も随時サポートされる。なお、モビリティのクラウド移行を支援する「EMS(Enterprise Mobility + Security) E5」やOffice 365やWindows 10 Enterpriseなど向けのセキュリティ強化製品「Secure Productive Enterprise」を2016年10月1日から利用可能になることも明らかにした。

インテリジェンス分野では、パーソナルアシスタントである「Cortana」に健康管理やリマインダーなど新たな機能が今後加わる。Microsoft Graphで作成した組織内のドキュメントをWordやOutlookへ容易に取り込める"Tap機能"や、労働時間の消費パターン分析を支援する「Microsoft MyAnalytics(旧Delve Analytics)」などを発表。米国内のサポートセンターに新たなAI基盤を用いた仮想エージェントの展開や、ルノー・日産アライアンスとの協業発表なども行われた。

クラウド分野では、2016年10月から「Windows Server 2016」および「System Center 2016」が利用可能になり、Microsoft Azureの新たな監視機能、Azure Stackのテクニカルプレビュー、独自のFPGA(カスタマイズ可能な集積回路)をグローバル展開することを発表した。MicrosoftはAIの加速化やMicrosoft AzureのAIスーパーコンピューター化の基盤にすると説明している。

ITプロフェッショナル支援分野は、MVPやITプロフェッショナルMicrosoftの専門家が、自社製品やソリューションに関するアイデアを交換する新たなオンラインコミュニティ「Microsoft Technical Community」の設立と、「Microsoft IT Pro Career Center」および「Microsoft IT Pro Cloud Essentials」が25言語に拡大したこを発表した。Microsoft CEO Satya Nadella氏は、「社会の課題解決と支援を行うため、AIの民主化が欠かせない。世界中の人々とビジネスの可能性を最大限に引き出すための支援を自社の使命とする」と述べている。

阿久津良和(Cactus)