OracleのインメモリのデュアルフォーマットDBは、行方向のテーブルと列方向のテーブルを持ち、両者をトランザクション的に矛盾がない状態を維持する。伝統的なトランザクション処理は行方向のフォーマットを用いるが、アナリティックスでは列方向のフォーマットが使われる。そして、SPARC M7ではSoftware in Siliconが必要な処理では自動的にそのハードウェアが使われる様になっている。

Oracleのデュアルフォーマットのデータベースは、行方向と列方向の両方のフォーマットを持ち、トランザクション的に矛盾のない状態を保つ。Software in Siliconが必要な場合には、自動的に使われるようになっている

Oracleのインメモリの列フォーマットのデータベースの圧縮には、次の図に書かれたように6つのレベルの圧縮がサポートされているが、圧縮、復元はSoftware in Siliconを使って行われる。

列フォーマットのデータベースの圧縮には6つのレベルがあるが、自動的にSoftware in Siliconを使って圧縮、復元が行われる

Scale Factor 1000のStar Schemaベンチマークを使った性能比較では、ソフトウェアだけの処理と比較して、Scanクエリの性能は23倍、Scan Rangeクエリは17倍、Translateクエリは10倍、Selectクエリは1.3倍という結果であった。

Star Schemaベンチマークでは、ソフトウェア処理と比べて、Scanは23倍、Scan Rangeは17倍、Translateは10倍、Selectは1.3倍の性能

Oracleのインメモリデータベースは、MEMCOMPRESSレベルでどの圧縮を使うかを自動的に選択するが、DAXを使って自動的に圧縮、復元が行われる。また、DAXを使えば、デコンプレス(復元)とスキャンを一度にまとめて実行できる。なお、ここで言う自動的は、データベースソフトにDAXを呼び出して使うという機能が実装されていて、ユーザが意識してDAXを使う必要が無いという意味で、従来のソフトウェアでDAXハードウェアが自動的に使われるわけではない。

DAXによる性能向上は、ランレングス符号化したデータのデコンプレッションは8倍、OZIPのデコンプレッションは11倍の性能である。

前の世代のSPARC T5 4ソケットのサーバと比較すると、SPARC M7 4ソケットサーバでSoftware in Siliconを使った場合は、ディシジョンサポートのTPC-HベンチマークのQPHスコアは9倍の性能となっている。これは電力あたりのQPH/Wでは11倍、チップ温度当たりのQPHは14倍である。そして、DAXに処理をオフロードしたことにより、CPUコアのアイドルの割合が3倍に増加している。これは、この分のCPUパワーをほかの用途に使えることを意味している。

前の世代のSPARC T5のサーバと比較すると、QPHでは9倍の性能で、DAXへのオフロードで、CPUのアイドル比率は3倍になっている

マシンラーニングではDAXを使うことによるスピードアップは4-12倍、データスキャニングではデータによって違うが、4-7倍、ストリーミングでは5-9倍のスピードアップが得られている。

DAXはC/C++だけでなくJava、Scala、Pythonなどの言語でも容易に使えるようになっている。また、DAXは広範囲なアルゴリズムに使え、大学での研究では新しい使い方が見つかっているという。

DAXの使用でマシンラーニングでは4-12倍のスピードアップ。データスキャニングやストリーミングでも4-9倍のスピードアップが得られている。また、DAXは色々な用途に使え、大学での研究では、新しい使い方が見つかっている

Quartet FSでのインメモリのアナリティックのクエリでは、DAXを使うことによって6倍から8倍の性能が得られている。また、128ストリームの処理の場合、DAXなしではCPUの使用率が22%まで上がっているが、DAXを使った場合は、CPUの使用率は、わずか2%に留まっている。

Quarted FSでのインメモリのクエリでは、DAXの使用で6-8倍の性能。CPUの使用率は2%という低い水準に留まっている

Apache Sparkで100万行3列のテーブルから10×10×10のサマリキューブを作る処理を、通常のSparkソフトウェアで実行する場合と比べて、DAXを使うと6倍速くなる。DAXを使えるSparkの開発が進んでおり、近く公開されるという。

Apacheでサマリキューブを作る処理は、DAXを使うと6倍速くなる。DAXで加速したSparkが近く公開される

結論として、Software in Siliconは、従来はソフトウェアで実現していた機能をハードウェア化した電力効率が高く、高性能なハードウェアである。Oracleのアナリティックスには、このハードウェアを活用できる場合が数多く存在する。

Oracleのデータベースソフトウェアは、この機能を自動的に使うようになっている。他のソフトの公開されたAPIでDAXを使うことができる。

Oracleは、ソフト-ハードのコデザインを追求し、広範なアプリケーションに対してより大きなゲインを追求して行くと述べて発表を締めくくった。

結論。Software in Siliconは電力効率が高く、高性能なハードウェアで、Oracleのアナリティックスでは多くの場面で活用できる。Oracleのデータベースでは、この機能を自動的に使えるようになっている。Oracleは、引き続き、ソフト-ハードのコデザインで、より大きな性能改善を目指す