IDC Japanは7月5日、国内外付型エンタープライズストレージシステム市場の2015年の実績と2020年までの予測を発表した。

それによると、2015年の国内外付型エンタープライズストレージシステム支出額は2,016億3,200万円で前年比7.4%増となり、国内外付型エンタープライズストレージシステム支出額の2015年~2020年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は0.6%で、2020年の国内外付型エンタープライズストレージシステム支出額は2,074億400万円に達すると予測している。

国内外付型エンタープライズストレージシステム支出額予測: 2014年~2020年(出典:IDC Japan)

2015年の外付型エンタープライズストレージシステムの支出額が前年比で高い伸びを記録したのは、メインフレーム向けの大型更新案件が金融、官公庁を主体に集中したことと、オープンシステム向けが仮想化環境(サーバー仮想化、デスクトップ仮想化)やクラウド環境(パブリッククラウド向けとプライベートクラウド向け)で高成長を継続したためだという。2015年のメインフレーム向け支出額は335億3,200万円で前年比26.9%増、オープンシステム向けが1,681億円で同4.2%増だったという。

接続環境別に見ると、最も大きな市場規模を持つFC-SANの支出額は986億2,900万円で前年比4.0%増。仮想化環境やクラウド環境でコストパフォーマンスに優れたミッドレンジクラスの成長が継続しているほか、オールフラッシュアレイが国内市場で本格的に立ち上がってきたことがFC-SAN支出額の増加に寄与したという。

NASは462億2,500万円で同9.6%増、NASの用途が従来のファイルサーバにとどまらず、仮想化環境やクラウド環境でのストレージインフラに広がったことが成長につながっているという。また、容量や機能を柔軟に拡張できるスケールアウトNASの比率が上昇したという。

そして、2017年以降の支出額は1%台の成長を持続していくと予測。仮想化やクラウド向けの支出のほか、オールフラッシュアレイなどを含めたフラッシュストレージへの支出額が増加していくという。

また、同社は国内外付型エンタープライズストレージシステムの2015年のベンダー別実績(売上額)もあわせて発表。それによると2015年の売上額では、日立製作所(シェア17.6%)、富士通(同16.7%)、EMC(同14.7%)、IBM(同11.4%)、NEC(9.5%)が上位5社たっという。

IDC Japan エンタープライズインフラストラクチャ/PCs グループディレクターの森山正秋氏は「国内エンタープライズストレージシステム支出額は、クラウド環境の拡大やオールフラッシュアレイなどの新テクノロジーの台頭に伴いその構造が大きく変化している。ストレージベンダーは大きな構造変化を踏まえた上で、自社が競争優位を持続できる市場を見出していくことが求められる」と分析している。