ルネサス エレクトロニクスは6月27日、同社のRX231に対応した通信セキュリティキットを発表したが、これにあわせ、記者説明会を開催したので、その内容をお届けしたい。
まず説明会の紹介の前に書いておけば、今回発表されたのはあくまでも「通信セキュリティキット」であり、RX231そのものではない。実はRX231が発表されたのは昨年6月30日の事であり、この時点ですでにセキュリティ機能はRX231の中に内蔵されていた。この際のリリースには「2015年中にデバイスドライバおよび本機能を用いたソリューションの提供を開始する予定です」と記されており、実際に個別対応の形で顧客に対してドライバを含むソリューションを提供してきていたそうで、今回の発表はこれをもう少し広範に普及させるべく、改めてキットの形で提供を行う事にしたというのが正確なところである。以上を念頭に置いた上で、内容をご紹介したいと思う。
まず説明にたった傳田明氏(Photo01)は、現在のルネサスが幅広い用途のエンドポイント向け製品をすでに提供している(Photo02)事に触れた後、IoTによる新しい価値(Photo03)の実現のためには、セキュリティに対する配慮も欠かせない(Photo04)事を訴えた。
Photo01:第二ソリューション事業本部 インダストリ・ソリューション事業部長 |
Photo02:どこまでをエンドポイントとみなすかは難しいところだが、IoTのエッジノードに入れられる製品としてはRX/RLがあり、やや上位にはRX 600/700が、さらに上位にはRZシリーズが控えており、ラインアップは充実している |
Photo03:IoTを応用したさまざまな事例。マシンビジョンによる危険認識とか行動認識、生体認証を利用したパーソナライズ、広範なセンシングを集約することによる新しいサービスなど、思いつくことは多い |
Photo04:ただし一歩間違うと、個人情報の類が駄々漏れになりやすいわけで、これを防ぐためにセキュアな通信やセキュアな実行が求められる |
続いて亀川秀樹氏(Photo05)が、RX231のセキュリティ機能、それと今回発表のセキュリティキットに関してもう少し詳細な説明を行った。
RX231は、同社のRX230をベースに機能強化を図った製品である。主な違いはメモリ搭載量の倍増や若干の周辺機器の追加、それとセキュア関係であり、今回の説明会のテーマはまさにこのセキュア関連機能となった。ルネサスはこれを「トラステッドセキュアIP」と表現している(Photo06)が、要するに共有鍵の生成機能とAESの暗号化/復号化のエンジンをセキュアな領域にまとめた形である。さらに、この暗号化エンジンの利用に必要となるドライバとミドルウェアも同社から提供される(Photo07)。