IDC Japanは6月29日、国内クライアント仮想化関連市場の2016年~2020年の予測を発表した。これによると、2020年の法人向けクライアント市場におけるクライアント仮想化導入率は42.3%まで拡大すると予測。市場の成長要因としてクライアント仮想化ソフトウェア技術の進歩、ネットワークインフラ基盤の拡大、全業種への普及の3点を挙げている。
国内クライアント仮想化市場の対象はシンクライアント市場、クライアント仮想化ソフトウェア市場、クライアント仮想化ソリューション市場の3つの市場となる。
同市場は2020年に6611億円まで拡大し、2015年~2020年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は8.0%と予測。2016年はマイナンバー制度の導入に伴い、セキュリティ対策(情報漏洩対策)として自治体、金融を中心にクライアント仮想化の採用が進む見込みだという。
2016年から新しい潮流であるクライアント仮想化の第4世代がはじまり、中核を形成するワークスペースは仮想デスクトップをベースにモバイル、Web、認証、次世代セキュリティ、コンテナなどを取り込み、Webアプリケーション、モバイルアプリケーションなど、さまざまなアプリケーションが共存する形態となっている。また、バックエンドシステムにはサーバ仮想化/ストレージ仮想化/ネットワーク仮想化など、さまざまな仮想化技術が採用されている。
ワークスペース出現の背景には、ユーザー企業を取り巻くエンドポイント環境の高度化/複雑化/多様化があり、オフィスでの定型業務利用を中心に勘定系/在庫管理/流通管理など用途の拡大に加え、病院、工場、店舗、大学など使用場所の拡大も影響している。在宅勤務やサテライトオフィス勤務、モバイルワーク、リモートワークをはじめ、働き方の多様化などで活用が進んでいるという。
IDC Japan PC、携帯端末&クライアントソリューション シニアマーケットアナリストの渋谷寛氏は「クライアント仮想化第4世代を迎え、エンドポイントにおける課題解決実現のために、IDCの提唱するデジタルトランスフォーメーションを志向したワークスペースイノベーションが有効な施策となるであろう」と指摘している。