H-IIAロケット31号機のコア機体。中央にあるのが第1段機体、その奥に見えるのが第2段機体

ロケットの下側から見た第1段機体。LE-7Aロケット・エンジンは赤いカバーで覆われている。その周囲にある茶色の部分は、ロケットの機体を固定したり回転させたりするための治具

第1段機体は直径4m、全長は31.2mにもなる。人と比べるとその大きさがよくわかる

第2段も含め、ロケット機体の大部分は液体酸素と液体水素のタンクが占めており、言わば「巨大な缶」である

カバーに覆われて中は見られないが、H-IIAロケットの第1段エンジン「LE-7A」。この1基で、ジャンボジェット機のエンジン4基分に匹敵する推力(パワー)を叩き出すことができる

「1段エンジン部構造」と呼ばれる部分。前号機から、このパネルの材料と工法が新しくなり、作業の効率化と、コスト削減が図られている。この部分は計8枚のパネルで構成されており、それらをつなぎ合わせて円筒形を形作っている

機体の表面は意外にも凹凸が多く、ざらざらしている印象。この部分は断熱材がタンクの外壁に吹き付けるように塗られている。H-IIAロケットは他のロケットと比べるとカラフルだが、これは断熱材の地の色が出ているだけで、塗装されているわけではない。また本来の色はもっと白く、紫外線で劣化することで徐々に黄土色になっていく

SRB-Aの上部が取り付けられる部分。周囲は他とは断熱材の色が異なっているが、これはSRB-Aを分離する際、火薬で支持部品を切ることから、その火薬の炎にあぶられても耐えられるよう、耐火性をもつ断熱材を使用しているためである

第2段機体。第1段が稼いだ速度や高度を受け継ぎで飛行し、最終的に人工衛星を軌道まで送り届ける役目をもつ。手前に見える黒い筒は段間部で、厳密にはこれ全体が第2段というわけではない。第1段よりは小さいが、それでも第2段の段間部込みの全長は11mもある

第2段機体にはLE-5B-2エンジンが装備されている

上から見た第2段。段間部(黒い部分)に、気象庁や、衛星を製造した三菱電機などのロゴが貼られている。この写真で見て手前側(ロケットの側面側)にあたる部分に、日本宇宙少年団が企画するモザイク・アートが掲載される

段間部のこの部分に、日本宇宙少年団が企画するモザイク・アートが掲載される

H-IIBロケットのフェアリングの一部。以前に打ち上げに使用された後、海から回収したものが展示されている。フェアリングは軽いアルミニウムを材料に、正六角柱を並べたハニカム構造とすることで、強度を高めている。ハニカムとは英語で「ハチの巣」という意味で、実際にハチの巣がこのような形状をしていることから名付けられている

一見すると重そうな板に見えるが、アルミのハニカム構造のおかげで驚くほど軽い。ロケットから投棄された後は海上に落下するが、軽いため海に浮かぶことから、船などへの衝突を避けるため、打ち上げのたびに船を出し、可能な限り回収が行われている。もっとも、毎回回収するのは大変なので、現在開発中のH3では、軽くても海に沈むフェアリングにすることが検討されているという

三菱重工業飛島工場の図。ロケットはこの地図の中の「第2工場」というところで造られている

H-IIAロケットの前で記者の質問に答える三菱重工 防衛・宇宙ドメイン技師長 H-IIA/H-IIBロケット打上執行責任者の二村幸基さん

記者会見に立つ二村幸基さん

記者会見に立つ三菱重工業 防衛・宇宙ドメイン 宇宙事業部 H-IIA/H-IIBロケットプロジェクトマネージャ 徳永建(とくながたつる)さん