仕事や創作をする時、あなたはこんな風に座っていないだろうか?
「いや、そんなはずはない」と言う人が大半かもしれないが、このイラストは、筆者が務め先のオフィスを見渡した時、一番目についた姿勢を描いてもらったもの。座るという行為は日常に溶け込んでいるため、作業に没頭していると、思った以上に姿勢は崩れていると言ってよさそうだ。
長時間のデスクワークの健康リスクが叫ばれる昨今、高機能なオフィスチェアを導入する企業もみられるが、多くの企業はではイスは必要備品のひとつとして導入しているのが現状だろう。「高いイスに座らないと効果は出ない」と思っている人もいるかもしれないし、導入を試みたものの、その価格から尻込みしている人もいるかもしれない。
だが実際のところ、オフィスチェアは「使い方」が大切で、仮に高級チェアを導入しても、正しく座らなければ真価は発揮できないという。本稿では、オフィス家具メーカーに聞いたデスクワークの疲労を軽減する「正しい使い方」を紹介していく。
体に合ったイスの選び方
今回姿勢やオフィスチェアに着目したのは、筆者自身が体の痛み、包み隠さずに言えば耐えがたい腰痛を感じたため。猫背の自覚はあったので、おそらく冒頭のイラストのような姿勢になっていただろう。調べてみたところ、機能を備えたオフィスチェアを使うことでかなり身体的な負荷を減らせるらしい。
とはいえ、オフィスチェアと一口に言ってもさまざまな種類が販売されているし、どれが自分に適しているか判断がつかない。そこで、まずはオフィス家具業界の業界団体・日本オフィス家具協会(JOIFA)が公開している「安心・安全なイスの選び方」の中にある計算式で、自分の体に合ったイス・デスクの高さを計算してみた。
・座面の高さの目安は身長×1/4
・デスク高さの目安は=座面高+差尺(身長×1/6)
日本オフィス家具協会HP「安心・安全なイスの選び方」より抜粋
筆者は身長が154cmなので、適した座面の高さは38.5cm、デスクの高さは64.7cm。しかし手持ちのデスクの高さは固定(70cm)なので、この通りには合わせられない。同協会に聞いてみたところ、「身長が低い場合は、デスクの高さはそのままにして足置きなどでイスの高さを調節するか、最近人気の昇降デスクでテーブル高さを調節することをお勧めします」とのことだった。
「最近人気の昇降デスク」とは…?と思い調べてみたところ、楽天が二子玉川に設けた新社屋「楽天クリムゾンハウス」で全社的に導入されているものらしく、電動式で個々人が好みの高さに変えられるらしい。とはいえ、先述の通り自分のデスクは高さが固定だったのと、自動昇降デスクの価格を調べた結果、足置きの導入を検討することにした。
筆者に適した座面の高さ(38.5cm)はかなり低く、一般的なオフィスチェアでこの低さをカバーしているものは多くなかったため、この座面高を基準にするとかなり選択肢は絞られる。しかし、現在の環境上、デスクの高さに合わせて43.8cmまで上げて足に台を置くのが最適解となるので、結果的に大半のオフィスチェアが選択できることになった。
消去法では決められなかったので、結局のところ自分の体で確かめるしかないと決意し、大手メーカー2社のショールームに実際に足を運んでみることにした。