ハウステンボスは21日、同社が運営する長崎県佐世保市のテーマパーク「ハウステンボス」において、ロボットをテーマとした複合施設「ロボットの王国」の展開を発表した。
グランドオープンは7月16日からだが、4月29日~5月5日をプレオープン期間とし、さまざまな催しを展開する。本稿では、同日行われた記者発表の様子をお届けしたい。
ハウステンボスでは、これまでにも「光の王国」「ゲームの王国」など、5つのコンセプトの「王国シリーズ」を展開しており、「ロボットの王国」は同シリーズ第6弾にあたる。先んじて2015年より開業しており、ロボットが受付が行う「変なホテル」に加え、店長・料理長をロボットが務める「変なレストラン」、体験型ミュージアム&ショップ「ロボットの館」という3つの要素で構成される。
「変なレストラン」では、お好み焼きを調理する「お好み焼きロボット」のほか、各テーブルにコミュニケーションロボット「タピア」を設置。注文受付だけでなく、席の空き状況を店長ロボットと客席案内ロボットと共有し、効率的な運用を可能にするとのこと。
一方、「ロボットの館」は、ロボットのダンスなどを観覧できる「ロボットショーゾーン」に加え、実際にさまざまな種類のロボットに触れられる「ロボット体験ゾーン」、各社の未発表製品や製作工程を公開する「企業ブースゾーン」、そして気に入ったロボットを購入できる「ロボットショップゾーン」といった要素で構成されている。
そのほか、人気アニメを元にした映画『THE NEXT GENERATION パトレイバー』の撮影で実際に用いられた全高約9メートルの「98式AVイングラム」の常設展示、ガム「ACUO」のCMに登場する俳優・松坂桃李氏を模した「トーリロボ」の実演(5月3日~5日限定)など、エンタメ分野で話題を呼んだロボットについても公開を予定している。
確度の高いフィードバックと「許認可不要」の強み
同社経営顧問&CTO 富田直美氏は、「ロボットの王国」を含め、同テーマパークでのロボット導入について、ロボット三原則などを引用して解説。ロボットの導入に関して「アジャイル的な実証実験を追求し、成果を世に問い、広める」と意気込みを語る中で、「産業ロボットでは先進的な日本だが、全体的なロボット分野では決して進んでいるわけではない」と指摘。「本来は実験段階にあたる可能性があるものを、消費者の方に見ていただくのが大切です。メーカーが費用を負担し、一般消費者に見ていただくスポンサー実験では良い評価が返ってきますが、これにはまったく意味がありません。我々はお金を払って来場いただくお客様から、確度の高いフィードバックを得ることができる」と、「ロボットの王国」の意義について語った。
また、会見前日にはドローン大手のDJIとも協業が決定したと発言。それに加え、「AI(人工知能)」を今後活用していくことを明言し、「AIはアジャイルの究極系」とした上で、同施設でAIの実証実験を行うことは「最高の情報提供」になると胸を張った。
一方、代表取締役社長の澤田秀雄氏は、ハウステンボス園内が私有地であることから、ロボットをはじめとした新技術の実証実験を行うにあたり、許認可を取る必要がない利点を強調。近々、全自動のバスを園内に導入することも挙げつつ、ロボットのめざましい進化に対応した実用実験、そして改良点の把握が素早くできるとし、「ハウステンボスを実用実験の場にしていきたい」と言及した。そして国内外の企業との協業により、ハウステンボスで作られた技術が世界で使われるよう、あらたな観光ビジネスを進めていきたいと語った。