インテルは4月21日、「Skylakeアーキテクチャ(開発コード名)」をベースとした企業PC向けプラットフォーム「第6世代Core vPro」を発表した。

近年、ビジネスのグローバル化やモバイル機器のビジネスシーンでの活用など、ビジネスのあり方そのものに変化が訪れている。そうした状況の中、よりビジネスの効率化が求められるようになっており、勝ち抜くための良いアイデアが求められるようになってきた。そうした良いアイデアはどこからくるのか、TEDで「良いアイデアはどこで生まれる?」というタイトルで講演を行い、「Where Good Ideas Come From(邦題:イノベーションのアイデアを生み出す七つの法則)」の著者としても知られるSteven Berlin Johnson氏によると、良いアイデアは突然の閃きから生み出されるようなものではなく、アイデアを別のアイデアと衝突させることで、初めて成熟されるものであり、職場でもインタラクティブな対話により、さまざまなアイデアを衝突させることが重要だとしている。

Intelもそうした取り組みを進めている1社であり、同社本社では職場環境の変革プロジェクトを行うことで、1人あたりの設置面積対比として37%のコスト削減を実現した一方、社員同士のコラボレーションが進んでいると米Intel クライアント・コンピューティング事業本部 副社長 兼 ビジネス・プラットフォーム事業部長のトム・ガリソン氏は自社の状況を説明する。

また、そうした環境の変化に併せてツールの変化していく必要がある。さまざまなOSを搭載したさまざまなフォームファクタのデバイスがビジネスで活用されるようになりつつあるが、それでもビジネスの中心はまだPCである。とはいえ同氏は、「インタラクティブな環境の下、アイデアやコンセプトを共有できるダイナミックな変化をPCは遂げることが必要」ともしており、ビジネススタイルに合わせて進化していく必要性を強調。第6世代Core vProプロセッサを搭載したPCは、複数のフォームファクタで提供され、さまざまなニーズに対応することを可能としており、「ビジネス向けとして最高のプロセッサ」であり、それにより「初めてビジネスPCが妥協しないデバイスとなり、誇りをもって持ち運ぶことができるようになった」と、その進化がビジネスに確信をもたらすとした。

Intel クライアント・コンピューティング事業本部 副社長 兼 ビジネス・プラットフォーム事業部長のトム・ガリソン氏。手にしているのは左がhpの3 in 1モデルのPC、右がIntelのCompute Stick(コンピュートスティック)

第6世代Core vProは性能として、5年前のPCと比較して演算性能を最大2.5倍向上させることが可能なほか、グラフィックス性能も30倍向上。バッテリーライフは3倍となる10時間以上に伸び、起動時間も4倍に高速化したほか、重量1kg未満を実現した機種やLTEやWiGigに対応した機種も複数登場するようになった。こうした変化は社内外とのコラボレーションを促進するために必要なもので、それは提供されるツールにも見て取れる。例えば2015年より提供が始まったコラボレーション促進ツール「Intel Unite」は、会議室で生じるプレゼンのためのPCとプロジェクタを、人が変わるたびに付け替えるといった手間を省くことを目的に、プレゼンデータを各PCなどで共有できるようにするもの。全世界で200以上の顧客が導入展開を進めようとしているほか、サードパーティからも会議周辺ソリューションとして提供されている。Intelでも、すでに1000以上の会議室に導入されており、2016年中には3000以上の会議室に導入される予定だという。

ビジネススタイルの変化に合わせてPCも進化する必要に迫られている。第6世代Core vProはそうしたニーズに対応することを可能とする

ちなみに同日、インテルは東京急行電鉄が運営する渋谷ヒカリエの貸会議室「Hikarieカンファレンス」の4部屋すべてにIntel Uniteソリューションを試験的に導入したことを明らかにしている。会議室の利用者は、同ソリューションを活用することで、PCのデスクトップ画面をワイヤレスでモニターに転送できるようになり、よりスマートな会議を体験できるようになるという。

さらに、「これまでコラボレーションは会議室の中でしか起こっていなかったが、第6世代Core vProでは、いつでもどこでもコラボレーションを行うことを可能とする」としており、それを実現するためのセキュリティ機能の強化も進められている。中でも多様性認証を行うハードウェア支援型認証ソリューション「Authenticate」は、直接ハードウェアの内部にPINコードなどの認証情報を格納し、ロケーション情報などと組み合わせてログインを管理することを可能とするもの。将来的には生体認証との組み合わせも可能で、ハードウェアベースのセキュリティとして、ソフトウェアへの攻撃にも対抗できるものとして2016年後半の正式提供を予定している。

開発中のハードウェア支援型認証ソリューション「Authenticate」。多要素認証をハードウェアベースで行うことで、高いセキュリティの確保と使い勝手の良さの両立を目指している

なおvProテクノロジーは2016年で10周年を迎える。同氏は「過去数年を振り返ると、クライアントデバイスに対し、PCは死んだ、すべてタブレットの時代になるだろう、と言われていたが、今もって、それは起こっておらず。逆に去年あたりからPCがビジネスには必須、という話になってきた。PCを中心としてビジネスが形成されている、という事実は変わりがないが、その形態が変わってきている。それを踏まえれば2016年以降、PCは新たなコラボレーションを生み出すための戦略的なデバイスになってくる。我々はこれまでなかったような高いレベルの信頼性を提供していくことで、そうしたニーズに対応していく」と語り、変化するビジネスのあり方に対応するための進化を今後も行っていくとした。

第6世代Core vProを搭載したさまざまなフォームファクタのPC

会見場にはvPro誕生から10周年を迎えたことを記念した特製ケーキも置かれていた