熊本県から大分県に至る広い断層帯で大きな地震や余震が続いていることから政府の地震調査委員会は17日、臨時会を開催した。検討の結果「16日未明に熊本県で発生したマグニチュード(M)7・3の地震は布田川(ふたがわ)断層帯の布田川区間の活動によると考えられる」との見解を発表した。同委員会は15日の臨時会で「14日夜に熊本県で発生したM6・5の地震は日奈久(ひなぐ)断層帯の北側の区間で発生した」とする見解を示している。気象庁は16日に同日未明の地震が「本震」で14日夜の地震が「前震」だった、と発表している。
日奈久断層帯は長さ約81キロで、九州の中央部の北東-南西方向にある。布田川断層帯は長さ約64キロ。日奈久断層帯の北側にあり、熊本県南阿蘇村から同県上天草市に至る東北東―西南西方向にある。この二つの断層はかつて一つの断層帯と考えられていた。一連の地震活動は二つの断層帯が互いに関連しているとみられる。
気象庁などによると、余震は小さいものを含めると18日朝までに500回を超えた。震源も布田川断層帯の北東側に大分県域でも発生。同断層帯の両端には大規模な土砂崩れが起きた熊本県南阿蘇村や市役所が半壊した宇土市がある。
気象庁は17日の記者会見で、余震域が日奈久断層帯の南西側に延びていることを指摘。一連の地震について同庁の青木元(あおき げん)地震津波監視課長は「地震活動が広がっている。これほど広域的に続けて起きるケースは珍しい」と今後の推移に注意を呼び掛けている。
地震調査委員会は17日、布田川断層帯はこれまで考えられていたより数キロ長く、東端は阿蘇山のカルデラまで達している、との見方を示した。阿蘇山は16日朝小規模噴火を起こした。これに対して気象庁は「一連の地震とは直接関連がない」(同課長)との見方示している。しかし「16日未明の地震(本震)で地下の圧力などに変化が起きて、阿蘇山の地下での活動が活発化した。これが大分側の地震を誘発した可能性がある」と指摘する専門家もおり、阿蘇山の火山活動も警戒する必要がある。
前震、本震とそれに続く余震により、被害は拡大しており、警察庁などによると18日朝までに死者、行方不明者は50人を超え、不明者の救出が急がれている。また避難住民も17日は10万人を超えた。
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