アクセンチュアは4月15日、復興庁からの委託を受けて策定を支援した「東北観光アドバイザー会議」での有識者による議論に基づく東北観光復興に関する提言を、復興庁が同日に公開したと発表した。

東北の原風景を色濃く残すという福島県大内宿の雪景色

同会議は復興庁が設置し、国土交通省参与および前観光庁長官である久保成人氏を座長とする、観光業界の有識者9名で構成される委員会。同提言は、2016年1月から3月にかけてこの会議上で議論された内容を取りまとめたもので、同社はその策定を支援した。

政府は、2020年までに東北の外国人宿泊者数を2015年の3倍の150万人泊に押し上げるという目標を掲げており、東北の観光復興関連予算が対前年度比約10倍(2016年度当初予算で約50億円)と増加している中、同提言は予算を有効活用するための指針として、官民が連携した戦略的かつ効果的な観光復興の取り組みに活用される。

同提言では、インバウンドを契機とする観光振興、ブランド・イメージの創出、ゲートウェイへのアクセスの強化といった点について、東北観光復興の課題とその解決の方向性を挙げている。

インバウンドに関しては、外国人旅行者増加の流れを東北にも取り込み、観光復興に繋げていくことが重要としており、海外からの観光需要拡大は旅行先としての東北の注目度を高めるとともに、国内旅行需要の喚起にも繋がるという。

また、北海道や九州など国内の他地域と比べて東北の認知度は低いとしたうえで、伸びしろを持った地域だとしている。ブランド・イメージに関しては、東北には強力なブランド作りの中核となりうる日本の原風景を感じさせる自然や食文化、伝統的な祭りなど、豊富な観光資源があると指摘する。

魅力ある広域観光周遊ルートの構築やファーム・ステイなどの文化体験といったブランド・イメージに沿った商品開発も求められ、そのプロモーションの実施にあたっては、行政区分ごとの活動よりも旅行者の視点や動線を意識した活動とすることが肝要だという。

アクセス強化については、特に仙台空港周辺エリアや東北新幹線の拠点駅である仙台市には、東北へのゲートウェイとして重点的な支援が必要と提言する。さらに、多くの外国人旅行者が訪れている北海道・関東・関西などとも連携し、それらの地域から東北への誘客動線を構築することで相乗効果を発揮するよう各地と、空陸海をネットワーク化した「立体観光」の推進も求められるとしている。