スキンケアは勝機かも?

資生堂が88の国と地域で展開するブランド「SHISEIDO」のメンズライン「SHISEIDO MEN」。男性特有の皮膚生理の研究を重ねてたどり着いた本格スキンケアラインだ。日本市場では2004年から導入し、スキンケアのほかにもヘアケア、ボディケア、フレグランスといった製品をラインナップする。

一般的に、男性はわざわざ時間をとって肌をケアするという習慣がないため、洗顔したら「これ1本」で済むスキンケア製品を求める傾向にある。SHISEIDO MENも、それを踏まえて洗顔と化粧水の2ステップで済むようなラインナップを展開。主力製品は洗顔料「クレンジングフォーム」と保湿成分が配合された化粧水「ハイドレーティングローション」だ。

SHISEIDO MENのアイテムたち。もちろんパッケージにもこだわりがある。本の背表紙のような形をしたボトルが並ぶ

そんなSHISEIDO MENの国内マーケティングを担当する、資生堂ジャパン プレステージブランド事業本部 マーケティング部 SHISEIDOグループ ブランドアソシエイト 田中理絵氏は「メンズスキンケアの市場は大きく伸びています」と教えてくれた。その背景として、意外なことに女性の社会進出が挙げられる。会社という身近な場所に女性がいることで、身だしなみに気をつかうようになるのがひとつの理由。田中氏によれば、ある調査では、社員のうち女性が少ない企業と多い企業を比べると、後者の男性のほうが美容への意識が「圧倒的に高い」(田中氏)という結果が出たそうだ。

拡大しつつあるメンズスキンケア市場に対して、SHISEIDO MENはどのように打って出るのか。その答えのひとつが、2016年5月21日発売の顔用保湿液「ハイドロ マスター ジェル」だ。これまではどちらかといえばミドル層のユーザーが多く、エイジングケア関連の製品が人気だったが、最近は20代のユーザーも多くなってきている。そういった状況をふまえて、20~30代男性の肌悩みに対応した商品設計となっている。使用性についても、彼らの趣向に合わせ、ベタつかず、サラッとしつつもうるおいと爽快感を感じられるジェル状のテクスチャーを採用したという。

グローバルでのブランド戦略などを担当する資生堂の岡村倫太郎氏(左)、国内マーケティングを担当する資生堂ジャパンの田中理絵氏(右)

ハイドロ マスター ジェルの投入は、今後のメンズスキンケア市場拡大をにらんでのこと。詳細は後述するが、20~30代をカバーするというのが大きな意味を持ってくる。