さらに市場を拡大するには何が必要か

左からハイドレーティングローション、クレンジングフォーム、ハイドロ マスター ジェル。ハイドロ マスター ジェルは主に20代後半から30代向け。一般的に、男性はベタつきを嫌うため、サラッとした使い心地にこだわった

SHISEIDO MENがメンズスキンケア市場を拡大していくにあたって重要なのは接点(入り口)を増やすこと。現在、SHISEIDO MENは百貨店をメインに販売している。百貨店のメンズスキンケア売り場に訪れるのは、概して美容への意識が高めの男性。しかし、実際には多くの男性がスキンケアに興味はあっても売り場へ足を運ぶのはハードルが高いと感じているだろう。

そういった男性が利用するのがECサイトだ。資生堂運営の「ワタシプラス」での売上も、田中氏いわく「ここ最近で急増」しているとのこと。接点を増やす方法は販路を拡充するだけではない。資生堂が全社的に取り組んでいることだが、他業界とのコラボレーションを積極的に展開し、さらなる認知度向上を図る。

たとえば、これまでにも吉田カバンの創業80周年を記念して「PORTER」とコラボレーションした特別キットを販売。PORTERのポーチと、SHISEIDO MENの洗顔料、化粧水、クリームそれぞれ10日分がセットになっている。この特別キットは「旅」をテーマにしたもので、持ち歩き用のコンパクトなサイズ。旅行やジムなどの"持ち歩きニーズ"も入り口としてとらえ、新たなユーザーに出会っていきたいとする。

接点を増やすことによって、若年層ユーザーを開拓していくのもねらいだ。先に説明したハイドロ マスター ジェルを入り口に、SHISEIDO MENへと引き込む。というのも、「一度使ったものを長く使う男性が多い」からだそう(田中氏)。たとえば、資生堂の「MG5」や「アウスレーゼ」といったロングセラーブランドも多くのリピーターに支えられている。20代後半~30代に、SHISEIDO MENを使ってもらい、継続して愛用してもらうという意味でも入り口作りは重要だ。

そういった戦略もあって、資生堂 グローバル事業本部 グローバルプレステージ事業本部 SHISEIDOブランドユニット 岡村倫太郎氏は「今後も世界中でより多くの方に愛用いただけるよう、積極的なブランディングを行っていきたい」と前向きな姿勢をみせる。