栗田工業は3月14日、塩化ビニルモノマーを含む塩素化エチレンの分解菌を大量に培養する技術を開発したと発表した。

微生物による土壌・地下水の浄化方法には、浄化場所に生息している菌を利用し、栄養剤を注入し活性化させることで汚染物質を分解する「バイオスティミュレーション」と、浄化場所に生息している菌に加え、外部で培養した菌を栄養剤とともに注入することで汚染物質を分解する「バイオオーグメンテーション」がある。

同社は、塩化ビニルモノマーを含む塩化エチレンを無害化する分解菌「デハロコッコイデス属細菌」を安定的に培養する方法を開発し、同分解菌を用いたバイオオーグメンテーションとして2008年より「クリオーグ・パワーバイオ法」の適用を進めてきたが、同分解菌の活性を長時間維持し、大量に培養することが課題となっていた。

今回同社は、同分解菌に対する食品添加物を主体とした栄養剤の選定やその最適添加率の設定など、分解菌の活性を長期間維持する培養条件を確立するとともに、培養環境を最適制御する大型培養装置を開発することに成功した。同大量培養技術により、1カ月間に従来の約20倍となる分解菌が培養可能となり、汚染体積が数万m3の大規模な汚染サイトを半年程度で浄化することが可能になるという。

大型培養槽の外観