JFEスチールは3月14日、三菱重工船舶海洋と共同で、船舶衝突時の安全性を高めることができる高強度厚鋼板「KA32-HD20」および「KD32-HD20」(商品名:「SAFEED」)を開発したと発表した。

SAFEEDは、鋼の化学成分および圧延条件の適正化により、鋼板のミクロ組織を最適に制御することで、従来鋼と同等の溶接施工性などを維持しつつ、同一強度の従来鋼と比べて高い伸び特性を得ることに成功している。船舶衝突シミュレーションでは、同鋼板を船側外板に適用することで、衝突時に鋼板が破断するまでに吸収することができるエネルギーを、従来鋼を使用した場合と比べて2割以上向上できることが確認された。

同鋼板は、一般財団法人日本海事協会より「KA32-HD20」、「KD32-HD20」として認証を取得しており、すでに飯野海運が所有するアストモスエネルギー向けLPG運搬船に適用されている。

JFEスチールは、SAFEEDの適用によって船体構造を変えることなく、船舶側面から衝突された際の破損リスクを大きく低減することができるほか、船体構造との組合せによりさらなる衝突安全性の向上効果も期待でき、LPG船と同様に高い安全性が求められるLNG船や原油タンカーなどへの適用も効果的だとしている。

船舶衝突のイメージ図

SAFEED適用船と同型船の断面図と適用範囲

SAFEED適用船と同型船