SOLIDWORKSの年次イベント「SOLIDWORKS WORLD 2016」が2月1日、米テキサス州ダラスで開幕した。初日の全体セッションでは昨年CEOに就任したジャン・パオロ・バッシ氏が登壇。本稿では、同氏が明かした新情報の中から注目のトピックを紹介する。
要件からデザインを自動生成: 「X Design」
今回のプレゼンの中で最も印象的だったのが「X Design」というブラウザベースのアプリケーションだ。
「X Design」は、要件を与えるだけでそれに応じたデザインが自動的に生成されるジェネレーティブデザインと呼ばれる技術を製品化したもの。ただし、バッシ氏によれば「トポロジーの最適化に特化したジェネレーティブデザイン」だという。
デモを見た限りでは、まず基本的な形状が提案され、ユーザーが材料の量や細かいデザインを調整できるようになる模様。また、タブレットやスマートフォン上でも使用が可能となる。
5月にβテストを開始し、年内の正式リリースを目指す。価格は未定。
まるでGoolge Drive?: 「X Drive」
クラウド上に5GBのストレージが与えられる「X Drive」も発表された。
「X Drive」では、ファイルの保存だけでなく編集作業が行えるほか、データを外部と共有する機能などが搭載される。Googleが提供している「Google Drive」のSOLIDWORKS版と考えるとイメージしやすいかもしれない。
同製品はSOLIDWORKS 2016のサブスクリプションユーザーに向けて今後数カ月以内にリリースされる予定だ。
オンライントライアル版を提供へ
上記のほかでは、SOLIDWORKSのオンライントライアル版の提供も発表された。こちらもブラウザベースとなる。14カ国語で展開し、製品化も視野に入れているという。また、米Altiumとの共同開発によるPCB設計ツール「SOLIDWORKS PCB」もポートフォリオに追加された。
SOLIDWORKSはCADからプラットフォームへ
バッシ氏は以前からSOLIDWORKSをプラットフォーム化する構想を明らかにしている(同氏は「イノベーションプラットフォーム」と呼ぶ)。これにより、SOLIDWORKSのエコシステムを介した人材・ノウハウの交流や新しいアプリケーションの提供などが実現し、イノベーションの促進につながるとしている。
今回発表された新製品の数々は、このプラットフォーム化構想に基づいており、デザイナーにより多くの選択肢とコラボレーションの機会をもたらすことになる。中でも「X Drive」はデザインの手法を大きく変える可能性を秘めており、今後の情報が待たれる。