楽天は1月26日、同社のプライベートイベント「楽天新春カンファレンス 2016」を東京・品川のホテルで開催。この中で、同社 代表取締役会長兼社長の三木谷浩史氏は、「2016年は病的なまでにクオリティにこだわりたい」と語った。

楽天 代表取締役会長兼社長三木谷浩史氏

同氏は2016年のテーマをクオリティに決めた背景を、「楽天市場を始めた20年前は通信販売の代替だったが、現在はあらゆる社会、生活、人間関係のあり方が変わっており、どんなにプロモーションを打ったとしても、100分の1、100分の2の店舗のマイナスの評判のほうが大きくなってしまう。楽天市場4万店舗のクオリティを維持していくためには、1店舗ごとの意識が必要だ」と述べ、「悪質な店舗には一旦閉鎖してもらうこともありえる」と強い決意を表明した。

また、店舗のレビューにおいて低い評価が行われた場合は、2分以内に楽天から評価を行った顧客に連絡を取り、どのような点がダメだったのかを聞き出し、改善に役立てるという。

楽天が進める4つの戦略

最近の技術トレンドについて三木谷氏は、「Smart」、「オウンドエコノミーからシェアリングエコニミーへ」、「Automation」の3つを挙げた。

「Smart」では、スマートフォン、スマートウォッチといったスマートデバイスが台頭し、人間の行動様式に大きくかかわっている点を指摘。

「オウンドエコノミーからシェアリングエコニミーへ」では、オウンドエコノミー(所有型経済)からシェアリングエコニミー(共有型経済)へのシフトが進んでおり、三木谷氏は「自動車もシェアする時代がそこまで来ている」と述べた。

「オウンドエコノミーからシェアリングエコニミーへ」

そして「Automation」では、車の自動操縦など自動化が進んでおり、これには「Deep Learning(機械学習)」や「AI(人工知能)」の技術が大きくがかかわっているとした。

楽天では、これらの変化に対して「データ戦略」、「ジャンル戦略」、「ロジスティクス」、「ユーザー高還元」の4つの戦略を実施していくという。

「データ戦略」では、ページ診断サービスやA/Bテストサービス提供によるCVRの改善や、へビーユーザーとライトユーザーで表示する内容を変えるなど、ユーザー最適化による購買促進、購買行動分析による最適な商品・プランの自動提示など、よりパーソナライズされたサービスの提供などを行っていくという。

ページ診断サービスやA/Bテスト

最適化による購買促進

「ジャンル戦略」では、ファッション、グルメ、リテール、ホームライフ、スポーツ、美容、キッチンの7つのジャンルに分け、それぞれのジャンルごとに個別の取り組みを実施していくという。たとえばファッションでは、フィット・アドバイザーやバージャル・フィッティングルームなどのサービスを提供する。

「ジャンル戦略」(ファッション)

「ロジスティクス」では、当日締め切り時間までに注文した商品は翌日に配送する「あす楽」やローソンやファミリーマートなどでのコンビニ受け取り、注文から最短で20分で配送する「楽びん」など、ラスト1マイル施策を強化。そのため、これらのサービスに対応できる店舗を優遇していくという。また、三木谷氏は「楽びん」は今後フードサービスにも対応するとした。

コンビニ受け取り

「楽びん」

そして「ユーザー高還元」では、楽天カード、楽天市場アプリ、楽天プレミアムカード、楽天モバイルをそれぞれ組み合わせて利用することで、ポイント還元が4倍、5倍、7倍になるスーパーポイントアッププログラムを推進。

スーパーポイントアッププログラム

このプログラムの中心となるのが「楽天カード」で、昨年11月現在の会員数1200万人から2000万人に拡大していくほか、現在業界3位の一人当たりの利用額を2年以内に1位にし、ロイヤルユーザー獲得施策を推進していくという。