小学生、中学生、高校生の各チームが自律型ロボットを用いて競い合う国際的なロボットコンテスト(ロボコン)「第12回 World Robot Olympiad(WRO)」が去る11月6日~8日にカタールの首都ドーハで開催された。

年々参加国が増え今回は52の国や地域からの選手が派遣されているとともに、これまでエキシビジョン扱いだった大学/専門学校生部門が正式競技となるなど、より開かれた大会として育ってきている。

日本からはレギュラーカテゴリに小学生を除く8チーム、オープンカテゴリには5チームの計13チームを派遣した。その結果レギュラーカテゴリーの高校生部門で「robotics X(大阪インターナショナルスクール/立命館高校)」が銀メダル、および「Ninja(福岡舞鶴高等学校)」が銅メダルを獲得するダブル表彰台となった。またオープンカテゴリでは「SPACE CHALLENGER(追手門学院大手前中学校)」が7位入賞している。詳細な試合結果は公式Webサイトを参照していただきたい。

写真1:日本勢初のダブル表彰台となったRobotixs X(左)とNinja(右) (写真提供:島田敏一氏)

面白さが際立つレギュラーカテゴリ

WROの競技は大きく分けて3種類あり、それぞれ以下のようになっている

  • レギュラーカテゴリ:与えられた課題に対しセンサを利用した自律型ロボットで攻略する
  • オープンカテゴリ:与えられたテーマをロボットで表現する
  • GEN II Football:2台のロボットをチームとしてサッカーを行う

見た目が華やかなオープンカテゴリや、対戦で盛り上がるFootballに比べるとレギュラーカテゴリは地味に映るかもしれないが、実はこのレギュラーカテゴリが面白い。

それはこのカテゴリには「サプライズルール」というほかのロボコン系の競技にはあまり例がない規定があるからだ。これは児童・生徒の問題解決能力向上を目的として競技当日に攻略課題が追加されるというもので、上位入賞のためには選手自身が調整時間中にプログラムを書き換え、また場合によってはロボットの構造をも変更する必要がある。

今回の高校生部門の課題は山の麓にあるブロックを、同色の山の上にある穴に入れるというものだが、この時点では攻略方法はAから斜めに転回してアームを伸ばすタイプとBから正面を向いてアームを伸ばすタイプとに大きく分かれている(図1参照)。

山の向きはくじで決まるためAの位置が常に中央寄りにあるとは限らず、コンパクトにまとめないと転回が難しいという意味でAはややハードルが高いが走行距離を短くすることができるという利点がある。実際上位に入賞したチームはこのAタイプが多かったようだ。

図1:コート説明図

そしてサプライズルールであるが、今回はスタート地点の奥に2個ブロックが追加され、それらも同色の山の上に置くというものとなった。穴は1個分しかないので必然的に2個目のブロックは山頂に置く形となるのだが、ここで各チーム戦術が分かれた。

写真2:実際の高校生部門のコート。画面手前にある2個のブロックがサプライズルールで追加された (写真提供:島田敏一氏)

  • サプライズのブロックを先に処理するか、後で処理するか
  • ブロックが2個ある山で先に穴に入れるか、あとから穴に入れるか
  • サプライズのブロックを正面から取りに行くか、横から取りに行くか

アームの構造や次に処理するブロックの保持方法などにより取れる戦術が制限されるため各チームにとってすべての選択肢が有効なわけではないが、もちろんそれら機体の改造を行って選択肢を増やすこともできる。

各チームの結論がどうなったかは皆さんにも考えていただきたいのでここでは明らかにしないが、やはり上位入賞チームはある程度サプライズルールを見越して最適化がすすんでいたようだ。

結果、今大会も満点のスピード勝負となり、銀メダルのRobotics Xは優勝した台湾チームと0.5秒差しかないという激戦だった。

今回も高校生を取り上げたが小中学生も同様にサプライズルールに取り組んで問題解決能力を磨いており、実際に世界で戦った子供たちの顔つきは短い期間でも変化する。ぜひ身の回りでロボコンに興味を持ちそうな学生がいたら声をかけてみてほしい。世界で戦うチャンスのあるロボコンはきっと子供たちを成長させてくれるだろう。

写真3:カタールに派遣された選手団 (写真提供:島田敏一氏)

来年の国際大会はインドのニューデリーで開催される。どんな子供たちが出てきてくれるか楽しみである。

著者紹介

北野順一
WRO Japan実行委員/どんぐりシステム 代表取締役