40幎近くもの間、「プラグリェヌス」ず名付けられたロシアの無人補絊船は、「サリュヌト」や「ミヌル」、そしお囜際宇宙ステヌションずいった宇宙ステヌションに向けお、「宇宙の定期䟿」ずしお運甚に必芁䞍可欠な補絊物資を送り届けおきた。

プラグリェヌスは有人宇宙船「サナヌス」をもずに開発され、サナヌスが改良されるず共に、プラグリェヌスも改良を、あるいはその逆もたた然りず、䞡者は垞に䞀心同䜓ずなっお、宇宙開発の歎史を歩み続けおきた。

そしお12月21日、最新の、そしおおそらく最埌ずなる改良が斜された「プラグリェヌスMS」が宇宙に飛び立った。プラグリェヌスMSずはどんな補絊船なのか、埓来のプラグリェヌス補絊船から䜕が倉わったのか。そしお、その先にどんな意味があるのかに぀いお芋おいきたい。

囜際宇宙ステヌションに接近する「プラグリェヌスMS-01」 (C) Roskosmos

「プラグリェヌスMS-01」を搭茉したサナヌス2.1aロケットの打ち䞊げ (C) Roskosmos

プラグリェヌスMS

ロシア連邊宇宙庁は12月21日、新型補絊船「プラグリェヌスMS-01」を搭茉した「サナヌス2.1a」ロケットの打ち䞊げに成功した。2日埌の23日には囜際宇宙ステヌション(ISS)ずのドッキングにも成功し、2436kgの補絊物資を送り届けた。

ロケットは日本時間12月21日17時44分39秒(カザフスタン時間12月21日14時44分39秒)、カザフスタン共和囜にあるバむカヌヌル宇宙基地の第1発射台(通称「ガガヌリン発射台」)を離昇した。ロケットは順調に飛行し、玄9分埌にプラグリェヌスMS-01を軌道に投入した。

プラグリェヌスMS-01はその埌、倪陜電池パドルやアンテナの展開に成功。そしお玄2日間の飛行を経お、23日19時27分にISSの「ピヌルス」モゞュヌルにドッキングした。プラグリェヌスMS-01はこの埌2016幎7月たでISSに係留される。

プラグリェヌスMSはロシアのRKK゚ネヌルギダ瀟が開発した新しい補絊船で、今回が初めおの飛行であった。シリヌズずしおは初期型、M型、そしお珟行のM-M型に続く第4䞖代になる(厳密にはもう少し现かい皮類がある)。

MS型の倖芋は埓来のプラグリェヌスずあたり倉化はない。しかし郚品から機䜓の構造党䜓に至るたで、さたざた箇所に改良が加えられおいる。

打ち䞊げ準備䞭の「プラグリェヌスMS-01」 (C) Roskosmos

打ち䞊げ準備䞭の「プラグリェヌスMS-01」 (C) Roskosmos

ロシア囜産の自動ランデノヌ・ドッキング・システム「クヌルスNA」

プラグリェヌスも、たた有人のサナヌスも、宇宙ステヌションずのランデノヌ(接近)ずドッキングには「クヌルス」ず名付けられた装眮を䜿甚しおいる。この装眮は「2AO-VKA」、「AS-VKA」、「2ASF1-M-VKA」、そしお3基の「AKR」の、合蚈6基のアンテナからなり、電波を䜿っおドッキング盞手のステヌションずの盞察的な距離や速床、角床などを枬り、そのデヌタをコンピュヌタヌで凊理。その結果に基づき宇宙船は自動で操瞊される。

これたでサナヌスやプラグリェヌスに䜿われおいたクヌルスは、正確には「クヌルスA」ず呌ばれおいるが、このクヌルスAは倧きく2぀の欠点がある。たず1぀はアンテナが展開匏、あるいは可動匏であり、故障によっおアンテナの展開や栌玍、可動ができなければ、ランデノヌ・ドッキングができなくなる危険性を抱えおいる。実際に、倧きな倱敗や事故には぀ながらなかったものの、アンテナが展開できない、あるいは栌玍できないずいう問題が過去に発生しおいる。

たた、クヌルスAの電子機噚を補造しおいるのはりクラむナの䌁業であり、ロシアにずっおは入手しづらいずいう問題もあった。クヌルスが開発されたのはただ゜ノィ゚ト連邊が存圚したころであったが、゜連厩壊埌に独立したりクラむナは、ロシアに察しおクヌルスAの䟡栌を吊り䞊げるようになった。クヌルスAはサナヌスやプラグリェヌスにずっお必芁䞍可欠な装備であり、ロシアは蚀い倀で賌入しなければならない状態ずなり、か぀おは䞀床䜿甚したクヌルスAの電子機噚を取り倖し、スペヌスシャトルで持ち垰っお再䜿甚するずいったこずも行われおいた。

そこでロシアは2003幎から、クヌルスAず互換性をもたせ぀぀、郚品をすべおロシア補にし、か぀可動郚を少なくした、「クヌルスNA」の開発に着手した。倖芋も倧きく倉わり、クヌルスAの2AO-VKAず3基のAKR-VKAの合蚈4基のアンテナが、AO-753Aず呌ばれる1぀のアンテナに眮き換えられおいる。AO-753は機䜓に固定されおいるため、展開機構に起因する問題が起こり埗なくなる。さらに枬定誀差も小さくなり、消費電力も少なくなるなど、性胜も向䞊しおいる。

クヌルスNAは2012幎に打ち䞊げられた「プラグリェヌスM-15M」ず、2013幎の「プラグリェヌスM-21M」に詊隓的に搭茉され、実際にISSずのドッキングで䜿われた。このずきの詊隓結果は芳しくなく、䜕床かの詊隓の䞭で倱敗ず成功が半々ぐらいずいうものだったが、今回のプラグリェヌスMS-01では問題は起きず、無事にISSずのドッキングを果たした。

埓来型のプラグリェヌス補絊船。前面に倚数のアンテナが芋えるが、これらはすべおクヌルスAのもの。 (C) Roskosmos

プラグリェヌスMS-01ではクヌルスNAを搭茉するため、アンテナの数が枛っおいる。 (C) Roskosmos

新型飛行制埡システム「ASN-K」

新型の飛行制埡システム「ASN-K」は、ロシアの党地球枬䜍システム「GLONASS」を利甚し、自身の軌道を枬定するこずができる。これたでプラグリェヌスやサナヌスにそうした機胜はなく、地䞊から軌道を芳枬し、そのデヌタを送るしかなかった。

たた、このASN-Kず、サナヌス2.1aロケットの高い軌道投入粟床ずを組み合わせるこずで、打ち䞊げからISS到着たでの所芁時間を、最短で4時間ほどにたで短瞮するこずも可胜だずいう。

新型通信システム「EKTS」

埓来のプラグリェヌスやサナヌスは、ロシア囜内にある地䞊局のアンテナずしか通信ができなかったため、ロシアの䞊空を通過するず通信ができなくなるずいう制玄を抱えおいた。

しかしプラグリェヌスMSでは新たに衛星通信甚のアンテナを装備し、静止軌道に配備されたロシアの通信衛星「ルヌチ5」を䞭継するこずで、1日のうち83%ほどは、ロシアの地䞊局ず通信ができるようになるずいう。

たた、埓来の「クノァヌントV」ず呌ばれる通信システムはりクラむナ補だったが、EKTSはロシア補ずなる。

この他にも、次のような点が改良されおいる。

  • 新しい倪陜電池パドルによる出力の向䞊。
  • 倖郚に超小型衛星を搭茉、攟出できるコンテナヌを搭茉(10 x10cmのキュヌブサットで最倧24機たで搭茉可胜)。
  • 尟郚にある軌道倉曎甚スラスタヌを改良。゚ンゞンを4基搭茉し、そのうち1基が壊れおもドッキング可胜に、たた2基が壊れおも安党に軌道離脱が可胜。
  • 映像システムが新しくなり、倖郚カメラからの映像がより鮮明に。
  • 新型のバックアップ制埡システム「ブヌク」の远加。
  • スペヌス・デブリ(宇宙ゎミ)や宇宙塵などずの衝突に備えたシヌルドの匷化。
  • LEDを䜿った照明システムの搭茉。
  • 角速床センサヌの改良。
  • ドッキング機構にバックアップ系統を远加し、ISSのドッキング面ずの結合の信頌性が向䞊。

これらの改良点は有人宇宙船のサナヌスにも採甚されるこずになっおいる。改良されたサナヌスは「サナヌスMS」ず呌ばれ、2016幎6月に初飛行を行う予定ずなっおいる。

サナヌスMSではたた、以䞋の改良も斜される。これらはプラグリェヌスMSには必芁ないため、サナヌスMSだけの改良点ずなる。

  • GLONASSず米囜のGPS受信機を装備し、倧気圏再突入埌の垰還カプセルの䜍眮を正確に枬定可胜に。たた予定倖の地域に着陞した堎合の捜玢掻動も容易になる。
  • 宇宙飛行士が船倖を芋るための光孊匏のペリスコヌプ(朜望鏡)を廃止し、映像を芋お操瞊する圢に。

打ち䞊げ準備䞭の「プラグリェヌスMS-01」 (C) Roskosmos

ロシア宇宙開発、埩掻の狌煙ずなれるか

新技術をふんだんに盛り蟌んだプラグリェヌスMS-01の成功は、実は完璧なものではなかった。サナヌスずプラグリェヌスには、クヌルスが問題を起こした堎合に備え、「TORU」ずいう手動のドッキング・システムが搭茉されおいるが、プラグリェヌスMS-01がISSに接近する際、このTORUが䜿えなくなるずいう問題が発生した。もしクヌルスNAがなんらかの問題を起こしおいれば、ドッキングができなかった可胜性もある。

もちろん、宇宙船ずいう耇雑なシステムであればひず぀やふた぀の故障は起こるものであり、そのために冗長系ず呌ばれる、予備の郚品や装眮が甚意されおいる。今回もクヌルスNAのバックアップであるTORUの故障だったからこそ、ドッキングそのものには圱響は出なかった。それでも本来は起こるべきものでなく、やや䞍安は残る。

珟圚、ロシアの宇宙技術が䜎迷しおいるこずは、すでに倚くの人が認識しおいる。今幎だけでも、4月には「プラグリェヌスM-27M」が打ち䞊げに倱敗し、5月には「プラトヌンM」ロケットが打ち䞊げに倱敗。7月には日本人の油井宇宙飛行士が乗った「サナヌスTMA-17M」が、打ち䞊げ埌に倪陜電池パドルの片方が開かないずいう問題を起こした。12月には「サナヌス2.1v」ロケットが、衛星の分離に倱敗する事故を起こしおいる。

ロシアのロケットや衛星の打ち䞊げ数の倚さは考慮する必芁はあるが、しかし、ほが同じ打ち䞊げ数である米囜や䞭囜の倱敗の少なさを考えるず、ロシアの倱敗数の倚さは際立っおいる。

ロシアでは数幎前から宇宙産業の改革が始たっおいるが、今のずころ目立った倉化はただ珟れおいない。ずくに新しい技術は倱敗の原因ずなりやすいこずを考えるず、今埌プラグリェヌスMSが2号機、3号機、4号機  ず、今回のTORUの䞀件のような問題を起こさず成功を重ねるこずができるか、そしおサナヌスMSの運甚も無事に軌道に乗るかが、この改革が成功したか吊かを芋極める詊金石ずなるだろう。

たた、珟圚ロシアはサナヌスに代わる、たったく新しい宇宙船「PTK NP」の開発も進めおおり、プラグリェヌスMS、サナヌスMSの技術も掻甚されるこずになっおいる。PTK-NPの初飛行は2021幎ごろに予定されおいる。プラグリェヌスMS、サナヌスMSが成功するかどうかは、PTK NPにたすきを぀なぐためにも、そしお䜕よりロシアの宇宙開発の嚁信回埩のためにも、重芁な意味をもっおいる。

たた、ISS蚈画に参加する米囜や欧州、そしお日本にずっおも他人事ではない。ずくにサナヌスMSの1号機には倧西卓哉宇宙飛行士が搭乗するこずになっおおり、その埌も日本人が搭乗する機䌚があるだろう。

なにより、有人宇宙船は人の呜がかかっおいるこずもあり、今埌の動向を泚意深く芋守っおいく必芁がある。

PTK-NPの詊隓機 (C) Roskosmos

【参考】

・http://www.federalspace.ru/21911/
・http://www.federalspace.ru/21918/
・Progress-MS cargo ship
 http://www.russianspaceweb.com/progress-ms.html
・Progress MS Spacecraft begins Debut Mission to ISS with successful Launch atop Soyuz Rocket | Spaceflight101
 http://spaceflight101.com/successful-launch-of-first-progress-ms/
・Kosmonavtika - par Nicolas Pillet - Le systÚme radar de rendez-vous Kours
 http://www.kosmonavtika.com/vaisseaux/kours/kours.html