国際競争力のある研究大学を目指す国内11大学で構成する学術研究懇談会(RU11)が、基盤的研究費、科学研究費補助金(科研費)、競争的研究費における間接経費の充実を求める提言を6日、公表した。
学術研究懇談会とは、北海道、東北、筑波、東京、東京工業、名古屋、京都、大阪、九州の国立9大学と、早稲田、慶應義塾の私立2大学で構成している。提言「自由な発想に基づく独創性豊かで多様な研究を継続的に支援することの重要性について」の最初に掲げられた基盤的研究費とは、国立大学運営費交付金と私学助成を指す。国立大学運営費交付金は、国立大学が法人化して以降、毎年減額が続いている。2015年度の10,945億円は2004年度と比べると13.4%(1,479億円)少ない。私立大学の経常費補助金における補助割合も1980年度の29.5%をピークに減り続け、2015年度は10.1%(推計)にとどまる、という数字を挙げて「運営費交付金ならびに私学助成のこれ以上の削減は行わない」ことを要望している。
科研費については、「大学の優れた研究を支える中核的な財源」として、2012年以降横ばい状態にある予算額の拡充を求めている。「制度的にもいち早く基金化を導入し、研究の進捗に合わせた費目間流用も認めるなど、研究者にとって使いやすく柔軟性の高いものとなっている」と競争的資金の中でも特に重要かつ有効な資金であることも強調している。
競争的研究費を獲得する研究者が多いことは大学にとって好ましいものの、大学に競争的研究費に付随した応分の資金が入らないと、大学に経済的なメリットはない。提言は、「学術文献の拡充、光熱水費、設備や建物の維持管理費、研究を支援する人員の配置など、大学には研究を支える財政的な余裕がない状況が生じている」として、2016年度予算で全ての競争的研究費に30%の間接経費をつけることを求めている。
提言の中で強調されているのは、「個人の自由な発想を起点とする独創性豊かで多様な研究を大学において推進すること」の重要性。研究を支える大学の財政基盤が年々縮小し続ける状況が続くと「将来にわたってノーベル賞を生み出し続ける状況を維持できるか、強い危惧を抱かざるを得ない状態となっている」との懸念も示した。
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