米Googleは11月9日(現地時間)、同社が開発した最新の機械学習システム「TensorFlow」のソフトウエアライブラリをオープンソースで公開した。ライセンスはApache 2.0だ。
同社は2011年に「DistBelief」というディープラーニング基盤を開発して、ニューラルネットワークの成長を加速させた。その成果の1つが2012年に公開したネコの認識であり、Googleアプリのスピーチ認識が25%向上し、Google Photosのイメージ検索が誕生した。しかし、DistBeliefは対象となるニューラルネットワークに制限があり、コンフィギュアしにくく、汎用性に乏しいといった課題を抱えていた。そうした問題を解決し、より高速かつスケーラブルなディープラーニング基盤として構築されたのがTensorFlowである。いくつかのベンチマークではTensorFlowが初代DistBeliefより二倍も高速なスコアを記録し、ニューラルネットワークのトレーニングが最大5倍高速になった。
TensorFlowをオープンソース化する狙いは機械学習研究の進捗である。Google CEOのSundar Pichai氏は「研究者からエンジニア、そしてホビイストまで、機械学習コミュニティに属する全ての人々が、論文ではなく、実際のコードを通じて活発なアイディアの交換を行うようになると期待している」と述べている。TensorFlowが機械学習研究の標準的なツールセットとして利用されるようになれば、検索の今後を支える機械学習において、Googleは研究者やコミュニティと密に関わっていける。
TensorFlowは、DistBeliefのようにGoogleの内部基盤と密に結びついた設計ではなく、1つのAPIでモバイルデバイスからデスクトップ、サーバまで幅広く導入できる柔軟なアーキテクチャになっている。さらにシニアGoogleフェローのJeff Dean氏とテクニカルリードのRajat Monga氏は、ブログ記事において「TensorFlowは、高速、ポータブルで、そしてプロダクションサービスにも対応できるようにゼロから構築されている。TensorFlowは素晴らしいリサーチツールであり、また製品に利用される準備も整っている」と述べている。