パナソニック、日本電信電話(NTT)、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)、パナソニック ソリューションテクノロジー、KDDI研究所、みらい翻訳の6社・法人は10月26日、これら各社・法人に8社を加えた14団体で「総務省委託研究開発・多言語音声翻訳技術推進コンソーシアム」を設立した。

同コンソーシアムは、訪日外国人などが言葉の壁を感じることなくコミュニケーションが可能な多言語音声翻訳技術について、5年を目途に技術研究・開発を実施し、2020年までに社会実装の実現を目指す。

多言語音声翻訳技術のイメージ

同コンソーシアムは、総務省が平成27年度情報通信技術の研究開発である「グローバルコミュニケーション計画の推進 -多言語音声翻訳技術の研究開発及び社会実証- I.多言語音声翻訳技術の研究開発」の委託先として、上記6社・法人を選定したことを受けて設立したもの。この他に、東日本電信電話(NTT東日本)、日立製作所、パナソニック システムネットワークス、KDDI、富士通、富士通研究所、エヌ・ティ・ティ・アドバンステクノロジ(NTT-AT)、エヌ・ティ・ティ・データ経営研究所(NTTデータ経営研究所)の8社が加わる。

主な活動内容は、「多言語音声翻訳技術を実用レベルで利用するための各種技術の研究開発」「多言語音声翻訳技術を2020年までに社会で実用化するための社会実証」「多言語音声翻訳技術が2020年以降も社会に根付き、利活用されるモデルの検討と試行」の3分野。

各種技術の研究開発のうち雑音抑圧技術の研究開発では、音声入力デバイスにおける雑音抑圧のための集音技術をパナソニックが、多様な環境における雑音抑圧最適化技術をNTTが担当する。

この他、翻訳自動学習技術の研究開発をNICTが、特殊文字認識技術の研究開発をパナソニック ソリューションテクノロジーが、位置情報を利用する翻訳精度向上技術の研究開発をKDDI研究所が、各研究開発技術を利用可能とする多言語音声翻訳プラットフォームの開発をみらい翻訳が、それぞれ担当する。

社会実証では、防災分野をNTT東日本とNTTデータ経営研究所、鉄道分野を日立、ショッピング分野をパナソニック システムネットワークス、タクシー分野をKDDI、医療分野を富士通と富士通研が、それぞれ担当する。

モデルの検討と試行では、NICTが開発し技術的に世界トップクラスの評価を得ているという「多言語音声翻訳システム」を、実用レベルで利用するための各種技術の研究開発を実施すると共に、実社会の各場面において社会実装に向けた実証を実施するとのこと。

同コンソーシアムによる研究開発を通じて、2020年までに多言語音声翻訳技術を用いたサービスを病院・ショッピングセンター・観光地・公共交通機関などの生活拠点に導入し、日本語を理解できない外国人が日本国内で言葉の壁を感じることなく、生活で必要なサービスを利用できる社会の実現を目指すという。こうした社会の実現は、訪日外国人旅行者の満足度や安心感の向上、旅行者数増加やリピート率の上昇、さらには観光などによる地域経済への波及につながることが期待できるとしている。