米Salesforceは米サンフランシスコで9月15日より開催中の「Dreamforce 2015」で、クラウド分析製品「Analytics Cloud」の最新版を発表した。1年前に新製品として誕生以来「だれもが使えるBI」を標榜しており、最新版でも使いやすさにフォーカスをした改良が加わる。

最新の「Analytics Cloud」の新機能は、17日のプロダクトキーノートで発表された。Analytics Cloudは2014年のDreamforceで発表された新製品で、SalesforceにとってはSales、Serviceなどに新たに加わる最新のクラウドサービスとなる。

Analytics Cloud担当COOのStephanie Buscemi氏はまず、Analytics Cloudの投入について、「これまで分析機能はデータサイエンティストとITのものだった。だが、データが爆発的に増えており、ビジネスユーザーからもデータ技術の革新を利用できる製品、モバイルでも利用できる製品をという声があった。これに応えるのがAnalytics Cloudだ」と意図を説明する。

Analytics Cloudは「Wave」とと呼ばれるプラットフォームを土台とし、Salesforceおよび非Salesforceのあらゆるデータを利用できる、スマートフォンなどモバイルに対応する、瞬時に洞察を得られる分析機能、といった特徴を備える。

同社の製品は通常、年3回最新版をリリースするが、Analyticsについては昨年のローンチから倍となる6回のリリースを行った。次期版となるWinter ’16リリースでは、得られた分析に対するアクションが加わる。

Wave Analyticsダッシュボードで得られた洞察に対して、セールス、サービスなどのビジネスのワークフローでのアクションが可能となる。また顧客はアクションのカスタマイズ作成も可能で、タスクを割り当てるなどの機能を作り込むことができる。デモでは、マネージャーがダッシュボードから問題を発見し、別のアプリに移行することなく営業担当やサービス担当などにタスクを割り当てるなどのことが可能になるという。

問題を発見し、営業担当にタスクを割り当てる

モバイルでも同様に、その場でアクションを起こせる

この他の機能強化として、同社の最新のUI技術となるLightningを採用し、レポートとダッシュボードをSalesforceに組み込んだ。チームの業績、セールスリード数、コンバージョン率などをリアルタイムで視覚効果が高い形で表示できるという。カスタマイズも可能で、カラムの数を増やしたり、並べ替えることで自分が知りたい情報にすぐにアクセスできるという。

Wave Analyticsはこの春登場した「Apple Watch」にいち早く対応したBI製品として知られるが、Buscemi氏はキーノート中「iPad」にネイティブ対応し、ビジュアル効果や体験を改善したことも発表した。

Analytics CloudはApple Watchにも対応している。デモではApple Watchで特定の製品の売り上げが落ちていることを確認し、タブレットで原因を探り、在庫状況をみてセールスチャンスをチームへ知らせる過程を見せた

Analytics CloudはCisco Systems、EMC、Akamaiなど多数の顧客を抱えるが、この日はVerizonなど3社が会場でAnalytics Cloudの導入企業として紹介された。このうち、米国最大の通信事業者Verizonの法人向け部門でグローバルセールス担当シニアバイスプレジデントを務めるGeorge Fischer氏は、「われわれは世界最速の営業チームを作っている」と述べる。

それにあたりWaveをはじめとしたSalesforce技術は戦略的なものとなる。「(Waveは)追加の洞察をビジュアルに提供してくれる。営業担当はリアルタイムの情報に高速にアクセスし、アクションがとれる。スピードと透明性が得られた」と効果を語った。

今後の計画について、ステージに登場したAnalytics CloudのCEO兼ゼネラルマネージャーのVijay Charkravarthy氏はWaveアプリとして「Marketing Wave」を用意していることを明らかにした。これは、すでにパイロット提供中である「Sales Wave」「Service Wave」に続くものとなる。また、サードパーティ向けのプラットフォーム戦略でも進展があり、DreamforceでWave Analyticsプラットフォームをベースとしたアプリが13社からパイロットとして発表されたと述べた。

Salesforce Analytics Cloud担当COO Stephanie Buscemi氏