iBeaconは名称から気づく方もいるかもしれないが、Appleが策定した規格だ。Bluetooth LEを利用しているという特性上、Android端末でも利用できるのだが、とあるアプリベンダーの開発者は「Android端末でもiBeaconは使えるが、それを大々的に話すとApp Storeからリジェクトされる」とも話すなど、決してオープンな規格とはいえない。

また、iOSでの挙動に最適化されているだけでなく、Android端末は様々なメーカーから製造・販売されているため、Bluetoothの細かい仕様が異なっており、「端末の個体差が大きく、上手く動かいない時がある」(小川氏)という問題もあるようだ。AppleのiOS端末は、iBeaconが対応している5、5s、6、6 Plusなどの機種バリエーションの動作検証で済むが、Androidは各商戦期で数十台が出回るため、アプリベンダーが隅々までカバーすることは事実上不可能に近い。

「例えばAndroidとiOSの両方が混在する友達グループが遊んでいたとします。そうすると、iOSの子はてがかりのポイントまで行き着いているのに、Androidの子はまだ近づいていないという判定になったりするのです。

これは、あくまでこちらの想像の範疇ですが、Bluetoothは基本的に家にあるサウンド機器やイヤホン、スマートウォッチといった『1台あたり2、3個』との接続しか想定していない。一方でiBeaconなどの"ビーコン"として使うことを考えた時に、今回のイベントでも40箇所くらいにビーコンを設置しましたし、それだけつかむ可能性がある。そうした時の不具合(Bluetoothの個体認識数が膨大になり、リストが埋まってしまうような挙動)はこちらでも防ぎようがありません」

ユーザー登録時に端末相性をビーコン端末に近づけて確認する。機種によっては、途中からビーコンを掴めなくなることも

実際にイベントでは利用できるとされる端末がiPhone5以上とGalaxyシリーズ、Xperiaシリーズ、Nexusシリーズに限定されており、それ以外は実際にユーザーが入れてみて動くかどうかを確認し、ダメだった場合にはブラックリストとして登録する手法をとっている。意外なところでは、2年以内に発売されたXperia端末は動作保証しているものの、保証していないXperia Zなど、"少し前"の世代になると不具合が出て使えないそうだ。最新世代のiPhoneとGalaxy、Xperiaにさえ対応していれば市場の7、8割は対応できるのでは……と思いきや、小川氏によるとそれらの端末を合わせても6割に過ぎず、残り4割は様々なメーカーの端末だという。

「運用上、不具合を起こした場合には、サービスでライフを回復させてあげたりしていますが、こういう最新のプラットフォームを活用するにはお客さまにも理解していただくしかない部分も出てきてます(※ユーザー所有端末の確認後にイベント参加料は支払う)。

プラットフォーム活用は以下に成熟しているか、させるかであって、すぐに飛びつけばいいというものではない。技術がエンタメ業界まで届くには時間がかかるけど、その間に成熟しているかどうかを見極める必要がある。

今回の企画で言えば、スマートフォン限定でやっているので、ガラケー(フィーチャーフォン)は切り捨ててしまっているんです。参加すらできないわけです。そうした課題も見据えながら、試行錯誤しなくてはならないと思います」