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キヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)は7月16日、3Dマシンビジョンシステム「RV300」と「RV500」の2機種を同日より発売すると発表した。
同社の3Dマシンビジョンは、バラ置きされた部品の供給など、工場内で人の手が介在しているプロセスの自動化を目的に開発されたシステム。マシンビジョンがロボットの「眼」となり部品を3次元認識することで、バラ置き部品の整理作業をロボットに行わせ、タクトタイムの短縮により生産性の向上や生産コスト低減を実現する。
仕組みとしては、ビジョンヘッドのプロジェクタからパターンを投影し、それを点群データとしてカメラで取得。これにより奥行データを確保し、事前に作成しておく3D CADモデルのパーツデータと照合することで、パーツとして認識し、ロボットに把持指令を出す。
RV1100は主に自動車製造や自動車部品製造におけるプレス部品などに向けた製品だったが、RV300とRV500はRV1100より小さな部品を認識することができ、自動車業界に加えて電気機器業界に向けた製品となっている。具体的には、RV500は最小で20×20mm、RV300は10×10mmの部品を認識することができる。認識可能サイズが小さくなった分、計測範囲と深さはRV1100より制限されているものの、小さな部品を扱うロボットにとっては十分なスペースが確保されている。
また、アルゴリズムの改良と新GPUの採用により、認識スピードが従来の1ワークあたり2.5秒から1.8秒に向上。これにより、自動車用プレス部品を扱うロボットに比べて、動作スピードの早い小さな部品を扱うロボットでもスムーズな作業が実現する。さらに、1つのパレット内で複数種のワークが分けてバラ置きされている場合でも1回の撮影で位置姿勢の認識が可能となる「複数パレット一括」、ピッキング前後の変化領域を検出し、変化が無い領域の計測をスキップする「連続認識可否判断」といったオプションを利用すれば認識スピードをさらに高速化することができる。
測定精度の面(繰り返し再現性)では、RV500でで0.15mm、RV300では0.1mmを実現。RV1100、500、300の3モデルとも同程度の視野範囲をもつ競合製品に比べ高い測定精度をもち、RV500は競合製品の倍の測定精度になるという。
マシンビジョンとしてのスペック面だけでなく、ユーザビリティが高い点もRVシリーズの強みとなっている。IEC規格であるIP54相当の防塵・防水性を備え、冷却ファンを使用しない自然冷却方式を採用するなどさまざまな現場で使用することが可能だ。さらに、カメラとスキャナが一体構造となっていることで、カメラとプロジェクタの位置調整が不要となり、工場内でマシンビジョンを移動させることもより容易となっている。また、データ照合に必要なワークのデータ登録も、RVシリーズではバラ積み状態のワークを5回撮影するだけで登録でき、SIerに依頼せずにユーザー自身で行うことが可能になるなど、ハード・ソフトの両面で柔軟な運用を想定した工夫がなされている。
RV300とRV500の紹介動画 |