国立がん研究センター(国がん)は7月7日、乳がんの治療抵抗性に関わるRPN2遺伝子の発現を抑制する核酸医薬製剤TDM-812の世界で初めてとなる第I相医師主導治験を開始し、被験者へ投与したと発表した。

今回の治験では治療抵抗性の乳がんで体表から触知できる局所腫瘤を有する患者を対象に、TDM-812を皮下の腫瘤に局所投与した際の安全性および忍容性の評価を行い、局所投与法における推奨用量を決定することを目的とする。

核酸医薬とは、異常な遺伝子の働きに対し、それを抑制するように作用する医薬品のこと。がん細胞の活動を司る遺伝子やがんの原因となるタンパク質の生成に関わる遺伝子に対して特異的に直接作用できるため副作用も少なく、病気の根本的な治療が期待できるとされている。さまざまな遺伝子に対する核酸医薬が期待を集めているが、安定化と薬物伝達が課題となっており、がんの治療薬として承認されるには至っておらず、同治験がスタートしたことによって初の承認に向けた第一歩を踏み出したことになる。