全天球のごく一部にすぎない領域だけで、銀河団規模のダークマター(暗黒物質)が集中している場所が9カ所あることを、国立天文台、東京大学などの研究チームがすばる望遠鏡の観測データから確認した。

宇宙の質量の4分の1を占めるといわれるダークマターは、今の物理モデルで説明できず、いろいろな考えが出されている(2015年5月25日ハイライト・香取 秀俊 氏・東京大学 大学院工学系研究科 教授 「科学技術を大きく変える光格子時計」参照)。

研究チームは、ハワイ・マウナケア山頂にあるすばる望遠鏡の超広視野主焦点カメラによる観測データから、2.3平方度の広さにダークマターの集中が9つ存在することを突き止めた。大きさはいずれも銀河団規模だった。1平方度は、角度にして1度の長さを一辺とする正方形と同じ面積の球面を切り取った立体角をいう。2.3平方度の広さは、天球全体のほんの一部にすぎない。

「たまたま宇宙の平均よりダークマターが密集した天域を観測した結果なのか、過去にダークエネルギーが期待されていたほど存在せず、緩やかな宇宙膨張の中で天体形成が早く進行した結果なのかは明らかでない」と、研究チームは言っている。

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