今夏のIT業界の最大のイベントは7月29日に予定されている「Windows 10」のアップグレード開始だろう。これまでに、標準のブラウザがInternet Explorerから新たなEdgeに代わるなど、大きな変更が報じられており、その概要は押さえておきたいところだ。

HowToGeekの記事「Windows 10 Is Almost Here: Here’s What You Need to Know」を参考に、本稿執筆時点で、明らかになっているWindows 10の情報をまとめておこう。

無料でアップグレード可能なユーザーの条件は?

Windows 10で最も注目されているのが、「Windows 7 Service Pack 1(SP1)」「Windows 8.1」を利用するユーザーに無料で提供される点だろう。ただし、これは期間限定であり、Windows 10の提供から1年以内にアップグレードする場合は無料となっている。無料で入手できるWindows 10はフル機能を備えた完全版だ。もちろん、セキュリティをはじめとしたアップデートも同様に受けられる。

無料アップグレード期間である1年を過ぎるとどうなるか。Microsoftが期間を延長しないかぎりは、購入するしかない。

だが、もしWindows Vistaやそれ以前のバージョンを利用している場合は、無料アップグレードの対象外となるので注意が必要だ。Vistaが登場したのは2006年、今から9年前だ――ハードウェアのスペックから見ても、新しいマシンに乗り換えを考える時期かもしれない。

Windows 10のシステム要件は、プロセッサが「1GHz以上のプロセッサまたはSoC」、メモリが「32ビット版では1GB/64ビット版では2GB」、ハードディスクの空き領域が「32ビット版OSでは16GB/64ビット版OSでは20GB」となっている。

「自作PCを構築する」「仮想マシン環境でWindows 10を動かしたい」といった場合は、新規で購入することになる。「Windows 10 Home」なら119ドル、「Windows 10 Pro」なら199ドルだ。

アップグレードの方法は?

次に、Windows 10へアップグレードをする方法を見てみよう。Windows 10へのアップグレードは「Windows Update」を利用できるのだが、Microsoftは「Get Windows 10」と称して、Windows 10がリリースされたら入手できる"予約"サービス(アプリ)を展開している。

Get Windows 10を利用すると、リリースと共に Windows 10 がダウンロードされ、都合のよい時間にインストールが可能だ。わざわざ、インストールプログラムをダウンロードする必要はない。ちなみに、予約は取り消しできる。

Windows 7 SP1とWindows 8.1のユーザーは、システムトレイにGet Windows 10アプリが表示されているはずだ。Get Windows 10アプリは、予約の管理やWindows 10 に関する情報の表示が可能なほか、使用中のデバイスがWindows 10に対応しているかどうかもチェックできる。

なお、「Windows 自動更新が有効になっていない」「端末が最低限のシステム要件を満たしていない」といった場合、Get Windows 10アプリが表示されないようだ。

システムトレイに表示されているGet Windows 10アプリ

アップグレードにあたっては、事前のバックアップをお忘れなく。アップグレードしたからといってファイルが削除されることはないはずだが、万が一の時に備えておきたい。

Windows 10の新機能は?

そもそもWindows 10を利用する価値はあるのか? Windows 7.1、Windows 8それぞれからWindows 10の新機能を見てみよう。

Windows 8からの変更点はスタートメニューに尽きるだろう。Windows 10は2012年にリリースされたWindows 8を土台としているが、現在、リリースされているテクニカルプレビューを見る限り、Windows 8で不評だった機能を外しているようだ。ツールバーの「チャームバー」はなくなっており、スタートメニューが復活している。スタートメニューはライブタイルと共に表示されるが、ライブタイルはカスタマイズ、非表示にすることも可能だ。

Windows 10のスタートメニュー

Windows 7ユーザーから見ると、Windows 8で提供されたすべての改善点をデスクトップで使いやすいインタフェースで利用できる。また、Windows 10では、起動しているアプリケーションを一覧表示したうえでアプリケーションを切り替えられる「タスクビュー」が追加されたたほか、コマンドプロンプトも強化されている。これらはWindows 7ユーザーにとってうれしい機能強化だろう。

まだある。ブラウザはこれまでのInternet Explorerに代わり、最新のEdgeがデフォルトとなる。EdgeはProject Spartanという開発コード名を持ち、Active Xをサポートしないなど、モダンさや使い勝手を売りにする。

また、Windows 10では、アプリケーションモデルとして、デスクトップやタブレット、スマートフォンなど異なるプラットフォームで共通のコードを使用した「ユニバーサル Windows プラットフォーム」が用意される。Edgeも「ユニバーサル Windows プラットフォーム」に対応した「ユニバーサルアプリ」として提供される。

さらに、これまで、PC/タブレット向け、スマートフォン向けに分かれていたアプリストア「Windows ストア」が、Windows 10に対応したすべてのデバイス向けに統合される。Windows ストアでは、Windowsアプリの入手や管理が行える。

実は、アプリこそMicrosoftがWindows 10をWindows 7 SP1/8.1ユーザーに無償で提供する理由だという――Windows 10ユーザーが増えることで、アプリ開発を奨励してエコシステムを構築しようというわけだ。