東京理科大学は4月27日、同校の葛飾キャンパス内に、中小企業の航空宇宙産業への参入を支援することを目的とした「トライポロジーセンター」を設立し、5月より運用を開始すると発表した。

トライポロジーとは、固体の摩擦・摩耗・潤滑を取り扱う工学分野のことで、ハードディスク、ピストンリング、トランスミッション、ブレーキなどさまざまな製品に活用されている。

新センターはこのトライポロジーをコア技術とする研究の拠点として開設された。同センターの目玉は3D SYSTEMS製の金属3Dプリンタ「ProX300」だ。「ProX300」は高精度レーザー焼結方式を採用しており、最大造形サイズは25×25×30cmで、最薄で150μmの板材が造形可能だ。同装置を納入したキヤノンマーケティングジャパンの担当者によれば、日本ではまだ数台しか導入されていないとのこと。

「ProX300」

そのほか、3次元形状測定装置、分子間相互作用解析装置などさまざまな先端機器・装置を導入。センター長に着任した東京理科大学工学部機械工学科の佐々木信也 教授は「装置もさることながら、本学で蓄えた知識を現場の皆さんへ供給していく事も役割の1つ」と語り、装置を活用しながら企業と協力していく姿勢を強調した。

佐々木信也 教授

大学側がこうした姿勢を示す一方で、企業側が「大学に自分たちの課題を持ち込むなんて…」と躊躇する場合もあるという。佐々木教授が「重要なのは、地元の中小企業はじめ日本の産業界に役立てること。技術者の方々や、現場でのトラブルで困っている人たちとわいわい話すことのできる拠点としたい」と語ったように、同センターを中心に産学の連携が活発化しものづくり現場でのイノベーションにつながっていくことが期待される。

導入された計測機器の一部。(左から)形状解析レーザー顕微鏡。ぬれ性能評価試験機。QCM-D薄膜インタラクション解析システム。

「ProX300」の紹介動画。