自然科学研究機構(NINS)は3月22日に、東京・千代田区一ツ橋にある学術総合センター(一橋講堂)にて、「第18回 自然科学研究機構シンポジウム」を開催する。

今回のシンポジウムのテーマは「生き物たちの驚きの能力に迫る」となっており、生物が備えている驚くべき能力について、研究機関のみならず、その能力をビジネスに活用している企業の研究員などが、それぞれの視点から講演を行う。また、ジャポニカ学習帳の表紙を30年にわたって撮り続けてきた昆虫写真家の山口進氏も、独自の視点で講演を行う予定となっており、生き物の驚きの能力とそれに迫る研究者の姿と、さまざまな立ち位置から生き物に関わる人たちの姿の2つの側面からの話を聞くことができる。

同シンポジウムで講演される各タイトルと講演者/所属研究機関は以下のとおり。

  • 「環境によって性が決まる! ミジンコの不思議」:井口泰泉 基礎生物学研究所 教授
  • 「サンゴと褐虫藻の切ってもきれない関係」:高橋俊一 基礎生物学研究所 准教授
  • 「干からびても蘇る! ネムリユスリカの極限乾燥耐性」:黄川田隆洋 農業生物資源研究所 主任研究員
  • 「不死の生殖細胞の不思議に迫る」:小林悟 基礎生物学研究所 教授
  • 「不思議な蝶の翅をまねた物作り~発展するバイオミメティクスの世界」:広瀬治子 帝人 構造解析センター 形態解析グループリーダー
  • 「花と昆虫の共進化を求めて」:山口進 写真家・自然ジャーナリスト
  • 「小さな生きものたちの紡ぐ大きな物語 - 普遍と多様をつなぐ」:中村桂子 JT生命誌研究館 館長

また、各講演のあとには、モデレータに立花隆氏を迎え、講演者たちを交えたパネルディスカッションも開催される予定。

開演時間は朝10時から夕方17時を予定。参加料は無料で、申し込みは、自然科学研究機構のWebサイトにある専用の申込みフォームにて、必要事項を記入する形で行われる。また、興味はあるが、当日の参加が難しい人のために、Ustreamならびにニコニコ生放送によるライブ配信も行われる予定。こちらも自然科学研究機構のWebサイトより見ることができるという。

高校生だけの特典 - 生きているイソギンチャクをその場で観察!?

さらに、今回のシンポジウムでは、前回同様の特別企画「高校生記者の募集」も自然科学研究機構のシンポジウムの紹介を行っているWebサイト上にて行われている(3月9日応募締切予定)。前回は講演後に、講演者に個別質問を行えるというものであったが、今回は昼休みを利用して、当日の講演者の1人で、サンゴの白化現象の研究などに取り組んでいる高橋俊一准教授との交流、ならびに高橋准教授の解説付きで、「セイタカイソギンチャク」と「イソギンチャク内に共生する褐虫藻」の顕微鏡観察を体験するというものとなっている。ちなみに観察結果は画像や動画として持ち帰ることも可能だという(4GB程度のUSBメモリを持参する必要有)。

なお、同シンポジウムの企画を担当した基礎生物学研究所の山本正幸所長にコメントを求めたところ、「遺伝子解析技術などの革新により、いままで十分に解析出来ずにいた生き物のさまざまな能力について、近年、注目すべき成果が出てきています。不思議な生き物たちの謎解きに挑む研究者の姿を是非見て頂けたら」と、今回のシンポジウムに向けた熱い想いがこもったメッセージをいただいた。生物の驚くべき能力を活用する製品なども登場してくるようになった昨今、そうした生物の持つ特殊能力はどのようにして調べられているのか、興味を持った人は参加してみると良いだろう。

「生き物たちの驚きの能力に迫る」のプログラム概要。シンポジウム紹介Webサイトでは各講演の要旨集なども掲載される予定となっているので、参加する前に、一度確認しておくことをお奨めする