午前11時近辺はティー・タイム

アパレル・ファッションに興味の薄い男性諸氏は、ユニクロのことは知っていても、ZARA(インディテックス)がどのようなブランドであり、また、会社であるかまではご存じでなかったかもしれない。ただし、齊藤氏の話から分かるとおり、インディテックスは、理念とビジョンに沿ったかたちで、モノ作りと物流の仕組みを洗練させ、ファーストリテイリングが目指す「世界一の座」をすでに手中に収めている。

その成功の原点・原動力となっているのは、「世界中の女性に、もっとおしゃれになってもらいたい」という創業者の想いだ。つまり、単に収益を伸ばすためだけに商品の低価格性やモノ作り・サプライチェーンの先鋭化を追求しているわけではないと言える。このサクセス・ストーリーは、アパレル業界のみならず、すべての製造業にとって参考にすべきものかもしれない。

もし、その詳細にご興味のあるならば、齊藤氏の書籍をお読みいただくのがよいだろう。また、齊藤氏のようにZARAに直接、話を聞きにいくのも(苦労は多いだろうが)一計かもしれない。ただし、それを申し込む際には、現地時間の午前11時ごろに電話をかけるのは避けた方が無難らしい。

「スペインでは、午前11時ごろはティー・タイム。当初、それを知らずに先方に電話で連絡を取ったところ、やたらと不機嫌な対応で冷や汗をかきました。やはり、グローバルな仕事は先方の風習・文化を理解してから取りかからないと、ダメですね(笑)」とのことだ。

書籍紹介

ユニクロ対ZARA

著者 : 齊藤孝浩
出版社 : 日本経済新聞出版社 (2014/11/20)

ベーシックカジュアルの価格と品質の常識を変え日本一のアパレルチェーンとなり、世界一を目指して突き進むユニクロ。トレンドファッションの価格の常識を変え、世界一となったスペイン インディテックスグループの基幹ブランドZARA。既存のファッション流通の常識に挑んだ2つのブランドの真逆のアプローチ、ビジネスモデル、2人の起業家が考える顧客満足、経営信念、人材育成、今後の成長の可能性まで・・・

10数年両ブランドをウォッチし続けた専門家の立場から両者の成長の舞台裏をわかりやすく解説しました。