ルネサス エレクトロニクスは2月20日、インスツルメントクラスタ向けに車載用32ビットマイコン「RH850/D1xシリーズ」7グループ22品種を発表した。
同シリーズは、ボリュームゾーンであるエントリクラスやミッドレンジクラスに向けてゲージ制御、グラフィックス表示と機能安全を1チップで実現し、システムコストを低減しながら、高信頼度のカラー液晶搭載のインスツルメントクラスタシステムを提供する。具体的には、3.5MBの大容量RAMを搭載するとともに、RAM使用量を低減する独自のグラフィクス表示エンジンと組み合わせて使うことにより、外部DRAMなしで高精細な液晶表示機能を実現した。また、外部に高速DRAMを不要にすることにより、4層基板など安価な基板への実装を可能にした。
さらに、ゲージ制御や車載通信といった基本機能と、表示する液晶パネルサイズの組み合わせにより7グループ22品種をラインアップした。ラインアップを通じて、ソフトウェアの流用性を高めることでインスツルメントクラスタシステムのプラットフォーム化を容易に行うことができ、ソフトウェアの開発期間を短縮し、開発コストとメンテナンスコストを低減できる。
そして、高機能グラフィックス描画エンジンを内蔵し、ミッドレンジで必要とされる大型、高精細(WVGA)の液晶パネルにグラフィクスを描画する他、ヘッドアップディスプレイへの表現力、視認性を向上させた。このグラフィクス描画エンジンはOpenVG1.1に準拠しており、標準APIをサポートしているHMI(Human Machine Interface)開発ツールを導入することにより開発期間の短縮を可能にした。
加えて、フロントガラスなどの曲面に合わせて、画像の遅延なしに自動的に任意の形に画像を変形・補正する機能を搭載し、インスツルメントクラスタにヘッドアップディスプレイ機能の追加を可能にした。
この他、インスツルメントクラスタシステムの機能安全を実現するために、システムの誤動作を検出する機能や、ワーニングやギアポジションなどの重要な情報が正常に出力されていることを常に監視し、万が一異常が起こった場合にでも安全を確保できる表示機能を搭載した。
なお、サンプル価格は「RH850/D1M2H」が1万円。2016年4月より量産を開始し、2018年4月には月産400万個体制を構築する計画としている。