Mentor Graphicsは1月21日、同社の「Vista」と「Sourcery CodeBench Virtual Edition」に対応したMentor Embedded Virtual Prototype Kits(組み込み仮想プロトタイプキット:VPK)を発表した。VPKを使用すると、さまざまなプラットフォーム上のソフトウェアを統合、実行、検証、最適化できるようになる。

ソフトウェアをデバッグ、解析するにあたり、特にマルチコアのヘトロジニアスシステムにおいて重要となるのがハードウェアとソフトウェアの複雑な相互作用の把握だが、実ボードを動かしながらのデバッグや解析では、トレースできる範囲も制御も限定される。

仮想プロトタイピング手法を用いると、コンフィギュラブルな仮想プロトタイプでソフトウェアを実行し、何通りものコンフィギュレーションとソフトウェア実行スレッドを試行、探索することが可能になる。また、プローブや複雑なボードのセットアップも必要ない。さらに、実ボード上でソフトウェアを実行する場合と異なり、独自のタイミング技術とプロファイリング技術を備えた「Vista」による仮想プロトタイピングは、タイミングに依存する振る舞いまで含め、システム全体をより深く、他の機能や性能に影響を与えない非侵入型方式で可視化し制御する。この結果、デターミニスティックな実行と限りなく非侵入的なシステムレベルのプロファイル収集を通じて、ハードウェアとソフトウェアの両方を効率的に解析できるようになる。また、ソフトウェアとハードウェア両方のビューの一体型デバッグからシステム全体の完全な情報を得られるという。

こういった仮想プロトタイピングは、単体デバイスへの複数のシステムと機能の集約、ソフトウェア性能の最適化、ソフトウェア検証とリグレッションテストの実行に携わるソフトウェア開発者にとって、理想的なアプローチである。さらに、仮想プロトタイプをRTL検証フロー(UVMなど)やエミュレーションフローとシームレスに統合することにより、シミュレーション速度とデバッグ効率を最大化することもできる。同ソリューションは、車載インフォテイメント(IVI)やECUネットワークをはじめ、医療、産業、ネットワーク、防衛、航空宇宙などの分野に最適となっている。

なお、「Vista」と「Sourcery CodeBench Virtual Edition」は、Alteraの「Arria-V」、「ARM Versatile Express for Cortex A-9」、Freescaleの「i.MX 6」プロセッサ、Xilinxの「Zynq」ファミリ向け市販コンフィギュラブル仮想プロトタイプをサポートしている。VPKは、同社のWebサイトからダウンロードできる。