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日本の白無垢のデザインはかわいい、またはかっこいいと思いますか?(写真は「日光女子倶楽部」部長就任式典にて白無垢を着用した水沢エレナ) |
お日柄のよい日に神社に行くと、結婚式の行列に遭遇することがあります。白い綿帽子に白無垢の花嫁さんが手を引かれて花婿さんと歩く姿は、いつどこで見ても美しく、感動させられるものです。この白無垢は、世界的に見ても日本だけにしかない衣装。ある側面で見るとかなり独特なデザインですが、海外の人にはどんな風に見えているのでしょう。
そこで、日本在住の外国人20名に「日本の白無垢(結婚式用の白い着物)のデザインはかわいい、またはかっこいいと思いますか?」と質問してみました。
■伝統的な白無垢は、今でも守られているし着られているので、とてもかっこいいと思います。(トルコ/30代前半/女性)
■かっこいいと思います。(ドイツ/40代前半/女性)
■かっこいいと思います。(韓国/40代後半/男性)
■はい、かっこいいと思います。(スペイン/30代後半/男性)
■かっこいいと思います。(ペルー/30代前半/男性)
■どっちかといえば、かっこいいです。(マレーシア/30代前半/男性)
■かわいくてかっこいいです。(ベトナム/30代前半/女性)
■かわいいと思います。(フィリピン/40代前半/女性)
■はい、かわいいと思う。(チュニジア/40代後半/男性)
■かわいいと思います。(スウェーデン/40代後半/女性)
■かわいくてきれい。(台湾/40代前半/男性)
■かわいい、かっこいいというよりはきれいです。(タイ/30代後半/女性)
■かっこいいとは思わないけどきれい。(アルゼンチン/30代前半/男性)
■かわいいより、厳かだと思います。(中国/20代後半/女性)
約70%が好意的な回答になりました。白無垢とは、神前挙式で着用する和装の白い花嫁衣裳のこと。打掛から小物まですべて白でそろえ、「文金高島田」の形に髪を結い上げ「角隠し」か「綿帽子」を被ります。ここには、清純無垢を表し「真っ白のまま嫁ぐ、相手の家の色に染まる」意が込められています。
白は、太陽光の色=神聖な色として平安時代から花嫁衣装に用いられてきた色であり、白無垢は室町時代の幾何学文様「幸菱文様」の白打掛が起源だそう。白無垢は挙式のみで、披露宴では色打掛けに掛け替えます。
世界中に多くの花嫁衣装がありますが、白無垢は日本だけのもの。明治神宮や平安神宮でも、挙式を興味深そうに眺め、写真に収める海外の人たちの姿を見かけることは多いですよね。「厳か」という回答、また女性の衣装にも関わらず「かっこいい」という意見が意外とあるのは、伝統的な和装な上に全身白という部分が神秘的な印象を強めているからなのかもしれません。
■帽子がなければとてもかわいい。(ロシア/20代前半/女性)
帽子、とは角隠しや綿帽子のことでしょう。このふたつは、古代の女性が外出時に小袖を頭からかぶっていた(本来は「被く(かづく)」と言う)習慣が始まり。白無垢に合わせて白の小袖をかぶっていたのが、江戸時代に綿帽子、角隠しと変化したそうです。
諸説あると言われますが、ある説では「角隠し」を被る女性は、角がはえた存在=鬼=あの世の象徴=死んだ人の意。白無垢は挙式のみ、披露宴では赤の打掛けを着ることが多いですが、これは赤に厄よけの意味があるからです。鬼の角が色打ち掛けに着替えた瞬間に取れて生まれ変われるのは(角隠しが取れる)、打ち掛けの赤は赤ん坊の血のアイコンであり、生まれた家の娘としては死に、新たに血を入れて嫁ぎ先でよみがえり育っていく。そのために白と赤の色を身につけるのです。
この流れから考えると、鬼が嫁ぎ先に入るまでの姿を形づくる上で、角を隠すための道具があるのは当然とも言えますよね。日本の伝統衣装や慣習にはすべてに意味が存在します。この例もそうですが、「帽子」は単なるデザインではなく、役割があるからこそ衣装に組み込まれているのです。
■あまりかわいいと思いません。(アメリカ/20代後半/男性)
■あまり興味がない。(イギリス/20代前半/女性)
■そうは思いません。あまり特徴がないと思います。(ブラジル/20代後半/男性)
■かわいくないです。(イスラエル/30代後半/女性)
■いいえ。(オーストラリア/40代前半/男性)
否定的な回答は、アメリカやイギリス、オーストラリアなど独特の民族衣装を持つ印象が少ない国、また20~30代の方に多いようです。確かに、日本人でも若い世代ではこうした伝統的な衣装よりもドレスがいいという層は存在しますので、世代的な感覚も影響していると言えそうです。
最近では国際結婚の方でも、白無垢に紋付き袴という日本の伝統的な婚礼衣装で神式の挙式を挙げる方がいらっしゃいます。あるWebサイトでは、福岡の神社にて、創建1300年の中で初めて外国人の方がこのスタイルで挙式された……という情報も見かけられました。大半の回答が好印象だったアンケートでしたが、伝統的なものを受け入れてもらえるのは、やはり日本人として嬉しいものですね。