2015年の年頭にあたり、レッドハット株式会社 代表取締役社長 廣川 裕司氏は、以下の年頭所感を発表した。
謹んで初春のお慶びを申し上げます。旧年中はひとかたならぬご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
2014年、IT市場においては、クラウド、モバイル、ビッグデータの追い風により大きな市場拡大がありました。その中で、レッドハット株式会社は、日本での創立15周年を迎え、順調にビジネスを拡大することができました。特に、「データセンターの刷新とコスト削減」、「100%クラウドレディなソリューション」、「ビッグデータの活用」という3つのテーマにおいて、エンタープライズ企業の攻めの経営や事業成長、政府官公庁のIT革新を加速すべく支援して参りました。さらにグローバルでは、各分野における戦略を強化するため、オープンソースソフトウェア(以下OSS)のストレージ開発を手がけるInktank社、クラウドコンピューティングサービスを提供するeNovance社、モバイルアプリ開発プラットホームのFeedHenry社などの買収を実施し、製品・サービスポートフォリオの拡充を図りました。御陰さまで、グローバル全体で二桁成長を達成することでき非常に良い年となりました。
いまやOSSがクラウド、モバイル、そしてビッグデータの中核技術として、IT革新をリードする時代となったことは間違いありません。国内の大手エンタープライズのお客様のミッションクリティカルなシステムにおいてもOSSを活用したITモダナイゼーションがさらに進み、運輸、電力、ガスといった社会インフラを支える企業にも広がりを見せています。また、海外向けのオーダー・マネジメント・システムや、海外子会社・提携企業との連携を図る標準ミドルウェアとしてのOSSの採用も広がりを見せています。通信やサービス業界では、リアルタイム・マーケティングでの応用も見られ、さらに、Internet of Things(以下IoT)やmachine to machine(M2M)を駆使したビッグデータ解析のソリューションとしてデータ仮想化・高速化やビジネルプロセス・ルールのソリューションが大手製造業や流通業で採用されました。国内でも先進的な企業においてInfrastructure-as-a-Service(IaaS)の基盤であるRed Hat Enterprise Linux OpenStack PlatformやRed Hat CloudFormsの採用がはじまり、サービスプロバイダのクラウド基盤、および、ネット専業企業のプライベートクラウドなどでの本格活用が進みました。Platform-as-a-Service(PasS)の基盤であるOpenShiftは、グローバル企業での採用が進み、日本での導入・検証が始まっています。このように、OSSが企業の目指すITイノベーションに、大きな力を発揮することを証明した年となりました。
2015年はOSSがさらに普及し、企業のITイノベーションを一層加速させると考えています。その中でレッドハットは、「クラウド&モバイル」、「ビッグデータ&IoT」、「ITモダナイゼーション」の3つの領域にさらにフォーカスして参ります。
「クラウド&モバイル」の分野では、OpenShiftによるDevOpsを実現する先進PaaS、通信業界のNetwork Functions Virtualization(NFV)におけるOpenStackの採用、プライベートおよびパブリッククラウドを統合管理するRed Hat CloudFormsによるオープンハイブリッドクラウドの実現に注力して参ります。「ビッグデータ&IoT」の分野では、JBoss A-MQやRed Hat JBoss Fuseによるデータ収集、Red Hat JBoss Data Virtualizationによるデータ仮想化、さらにSoftware-Defined StorageとしてのGlusterとCephそれぞれのさらなる普及を目指します。「ITモダナイゼーション」の分野では、従来のメインフレーム/UNIXからLinuxへのマイグレーションはもとより、WindowsからCloud環境への移行を含め、特に、Linuxコンテナー技術によるポータブルなアプリケーションの普及を目指します。
そして、我々は日本のトップIT企業である多くのパートナー様と共に、OpenStackやOpenShift、さらには、Linuxコンテナーなど最先端技術の分野でアライアンスを強化し、エコシステムをさらに拡充して参ります。ITイノベーションの実現に世界標準OSSを使って、日本企業の攻めの経営や事業拡大、また、政府官公庁におけるIT革新を支援して参ります。