STMicroelectronics(ST)は12月15日、伊Clonitおよびスパランツァーニ国立感染症研究所と共同で、血液中のエボラウイルスを75分という短時間で検出できる検査キットの試作品を開発したと発表した。
同キットは血液サンプルからウイルスのリボ核酸(RNA)を取り出す抽出器で、STの研究開発センターで開発された切手サイズのシリコン製超小型リアクターを採用。抽出されたRNAをDNAに逆転写後、リアルタイム・ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)法に従って増幅する。定量的なリアルタイムPCR(ウイルス量)を実行するため、Clonitが開発した特殊な試薬をマイクロチップ上にあらかじめ装填している。また、STが開発した携帯型光学リーダーによってウイルスに感染したDNAをサンプルから検出し、そのデータをPCに送信してグラフィカルに表示することができる。
今回、試作開発された検査キットは、イタリア保健省によってエボラ出血熱に対応する医療機関に指定されているスパランツァーニ国立感染症研究所によって、適切な国際規格に準拠していることが確認された。数μlの血液サンプルから高精度でエボラウイルスを検出でき、最大100万倍に希釈した血液サンプルでも検出することができたという。
今後の普及に向けて、検体取り扱い時の感染危険を抑制することや、コスト低減などが課題となるが、携帯可能で検査精度が高く、早期のウイルス検出が可能なため、エボラ出血熱の感染拡大の防止への貢献が期待される。