セイコーインスツル(SII)は12月8日、低消費電流で、相対時間の時間管理に適した車載用CMOSタイマIC「S-35710」シリーズを発表した。
近年、EURO6による排ガス規制により、エンジン停止後の定期的な状態管理の必要性が高まりつつある。例えば、排ガスの有害成分を浄化する触媒の活性化状況の時間管理、定期的な時間ごとの燃料気化量(圧検出による漏れチェック)の管理、停車時の燃料気化量を計測するための時間計測などが挙げられる。また、EV(電気自動車)においては、バッテリの状態監視を目的として、未乗車やバッテリ未充電のブランク検出の要求がある。例えば、半年間乗車していなかったことの警告、何日乗車していなかったかの時間パラメータ検出、スリープ時での充電に向けた深夜電力時間検出などが挙げられる。
同シリーズは、アラーム時間を1秒~194日の期間において1秒単位で設定できるため、エンジン停止後などにおける各種システムスリープ期間中の時間管理に最適となっている。具体的には、タイマ値と内部レジスタに書き込んだ値を比較し、値が一致したときに割り込み信号を出力する。タイマは、24ビットのバイナリアップカウンタである。ユーザーは、2ワイヤシリアルインタフェースを介し、内部レジスタのデータ値を自由に設定可能。これにより、割り込み信号発生までの時間を自由に設定することができる。
また、タイムアウト方式には、割り込み信号を繰り返し出力するワンショットループ方式、および割り込み信号出力中、状態を保持するハンドシェイク方式の2つがある。これらのタイムアウト方式はオプションにより選択できる。さらに、それぞれのタイムアウト方式において、ライトモードとリードモードの2つのモードを搭載している。ライトモードは目覚まし時計的な仕様となり、割り込み時間設定直後に時間計測をスタートし、設定時間後割り込み信号を出力する。リードモードは、ストップウォッチ的な仕様となり、時間計測スタートの後、コマンドにより経過した時間を読み出すことができる。これらにより、相対時間の柔軟な管理を可能にする。
そして、業界トップクラスの低消費電流 200nA(typ.)を実現した。これにより、常時動作が必要な計時システムの低消費電力化に寄与し、システムの暗電流低減に貢献する。従来の方法で相対時間計測を行う場合、マイコンのタイマ機能を常時動作する必要があり、たとえシステムスリープ期間であっても、消費電流がmAオーダーとなる。これに対し、同製品は、それ自体で相対時間を計測できるため、システムスリープ期間であってもマイコンを停止し、200nA(typ.)まで低減することで、暗電流削減の厳しい要求にも応えることができるとしている。
この他、125℃の高温動作対応をはじめ、低温、常温、高温の3温度テストの実施により、自動車などの過酷な環境で使用できる。さらに、AEC-Q100にも対応する予定。なお、パッケージは8ピンTMSOP。